あめんぼ通信

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

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土の上のアイデンティティ

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 月、水、金と出荷している。ワンパック宅配をしている人は、週に3回の出荷が多いようである。週に2回というのは、1回の出荷軒数が多くなるので、1人では難しいと思う。それと夏場には少なくとも1日おきに収穫しないと、キュウリやオクラなどが大きくなり過ぎる。
 今日は出荷だった。曇天だったので朝食をすませて7時半頃に田んぼに出た。よく晴れていたら、7時には田んぼに出るつもりだった。


 田んぼは1箇所にかたまってあるので、収穫時に軽四で移動をしなくてもよいというのはとても便利である。収穫時に移動を伴うなら、全ての野菜を「朝取り」というのは難しい。そして、農作業時にも移動をしなくてもいいので助かる。


 前日の晩に業務用の顧客の注文を書いた紙を合計して、イタリアンパセリ8単位、ロケット6単位、スペアミント4単位というふうに収穫品目と収穫単位数を書いておく。 紙に書くのはほとんど時間はかからない。たとえば、当日の個人客が3軒なら、ニンジン3単位、サトイモ3単位、ネギ3単位、シュンギク3単位というふうに書くが、収穫の時もそれが頭に入っているので、きちんとその単位数を収穫でき、収穫が少なかったり、多かったりのロスは慣れると少なくなる。多ければ食べ量にまわす。外観があまりに悪ければニワトリ行きとなる。サービス品として入れる分は、別途収穫する場合も多い。個人客のワンパックの内容は同一である。家族構成の多い少ないで野菜の品目や量を変えるのは煩雑すぎる。しかし、月に1回、月に2回というのは随時に選択してもらっている。業務用のハーブも当日の必要単位数を頭に入れて収穫するが、ハーブは余ると使い道がないので、全てサービス品として入れる。でもそんなに多かったり少なかったりの収穫の不手際は少ない。


 葉物はできるだけ早い時間帯で収穫した方がいいので、たいてい小走りになる。画像の黄色のコンテナに1品目もしくは2品目を収穫するとすぐに、物置と竹やぶとの間の日陰に置いておく。野菜とハーブで少なくとも15品目は収穫するので、1品目に10分かかったとしても150分=2時間半。ハーブは秋冬作でも「摘み取り系」が多いので、作る時間はかからないが、収穫の時に時間がかかる。野菜でも、サトイモやネギに時間がかかる。その後、画像のように軽四の上で品目別に仕分けをする。目方を量らずに1束いくらというのもあるし、ハーブは軽すぎて量り辛いものは目分量で仕分けをする。その日の出荷軒数にもよるが、1時間では終わらないことが多い。収穫と仕分けで合計3時間半。その後、散らかった新聞紙を片付けて、ニワトリにエサをやると午前中は終わり。本当は早起き鳥のニワさんに、朝一番にエサをあげる方がいいが、出荷の日はこの5分がまわせない。昼飯を食べた後、ブログランキングで順位を確認したり、「富士丸な日々」や「生まれる前から不眠症」「同業者のブログ」等を見ながら、納品書を書いたり送り状を書いたり振込用紙を書いたりする。これに約1時間はかかる。箱詰めの前に在庫のサツマイモの目方を量る。在庫品の仕分けは案外時間がかかる。ヤーコンの仕分けが加わると、サツマイモ以上に手間がかかってしまう。箱詰めは1時間では終わらない。特に業務用は内容物は異なるので、納品書と現物の不一致だけはしないように集中してする。品目と品目単位数を入れ間違うと、他の顧客の分が足らなくなる。クロネコの営業所の往復で22~23分かかる。昼からの作業に最短でも2時間半はかかる。たいてい3時間ほどかかる。最近は5時を回ると薄暗くなるので、出荷の後は田んぼには行けなかった。


 出荷に時間がかかり過ぎと思うが、これ以上短縮はできない。農作業ができるのは月、水、金以外の週4日間であるが、平均すると月に4~6回(週に1回)は雨の日や雨後で農作業ができないことがあるので、実質、週に3日間しか農作業ができない。もちろん農休日などは計算に入れていない。農業者は冬場の農閑期以外は1日丸々は休めないものである。 


 週に3日間の農作業で30~35アールほどの作付を切り回すのだから、結構ハードである。昇給もないしボーナスもないし、野菜やハーブの単価は一度設定するとなかなか上げれないものだし、病害虫にやられて全滅という事態も作物によってはありうる。有機野菜のワンパックは割りの合わない商売だと思う。


 すでに、田舎の現役世代は誰も農業をしなくなった。今、現役世代で農業を始めるのは「農業の原風景を持たない都会の人」なのである。「岡山ニューファーマーズ」等の支援制度の援助を受けて農業を始めた都会の人を何人か知っているが、続いている人は、自分からみて「いろんな面でかなり能力の高い人」である。もちろん「岡山ニューファーマーズ」の厳しい選抜の目を潜り抜けてきた人たちだから、初対面で話したり、田んぼを見せてもらっても、とにかく、やってのけれる人なのである。農業以外の仕事に従事しても必ず頭角を現すだろうと思えるような人が「岡山ニューファーマーズ」には多い。誰でもがこんな選び抜かれた人と同じようにできるわけではない。大多数の凡人には「農業への転身」はあまりに厳しすぎるのではなかろうか。「定年帰農」は「現役帰農」とは全く違う。定年帰農は趣味の世界であり現役帰農はビジネスの世界である。自給自足的な農業というのもありえない。今は大都会でも過疎地でも、ライフラインや各種社会保険料の負担は、全国津々浦々同一のシステム下にある。諸物価は田舎の方が高いので、生活費自体、田舎の方が高くつく。農業がいいと思うのは農業を全く知らない人や農業をやったことがない人だけ。「無知の涙」を流さないことを願う。農作物をカネにする必要のない「定年帰農」の場合でも、(1)風光明媚な田舎のほとんどの地域でイノシシやシカ、場所によってはサルが出没して、農作物を作るには囲いが必要であること。(2)田舎の人間関係は複雑で、何世代も前からそこに住んでいる「土着民」なので、人間関係が一度壊れると修復が難しい。(3)集落の出仕事や冠婚葬祭の付き合いが多い。崩壊しかかった過疎地の集落ならよいが、まだ集落が機能している地域ならこれらの付き合いから免れない。(4)産業廃棄物処理場等は過疎地へ過疎地へと回されるので、実際の所は住んでみないと環境がいいか悪いかわからない。水や空気が自分に合うかどうかも定かではない。買うと動けなくなるので、借地借家でスタートした方がいいと思う。田舎では今、放棄田や空き家が加速度的に増えている。
 
自分のアイデンティティの崩壊をぎりぎりの所で止めてくれた農業だから、あなたにも農業を勧めたい。でも「自給自足」という経済システムがすでに40年も前に壊れているので、田舎に居場所を求めても、生活をどうしていくかという問題に現役世代の人は必ず直面する。農業を稼ぐ手段にするのはあまりに厳しすぎる。人間の魂は「宗教に帰依した時」ではなく「土に帰依した時」に安らぎを得ると思うが、99%の人間はすでに99%のニワトリと同じように、土の上に自分のアイデンティティを形成することが許されなくなっている。


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プロフィール

水田祐助

Author:水田祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在55才、農業歴19年目。農業形態は野菜とハーブのワンパック宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ30羽。25年ほど農業とは無縁だったが、ボクが子供の頃は、家は葉タバコ農家だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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