農作業は毎年、同じことの繰り返しである。去年も今頃の時期に、このクン炭作りをした。1年に2回だけする農作業である。
くん炭はとても便利な素材である。45年ほど前までは、稲の苗代にこのくん炭が使われていた。カリ分の補強、保温、草押さえ、この3つの効果があったのだろう。
自分の場合は、種蒔き後に、雨でたたかれるのを防いだり、春は保温、秋は日陰に、そしてカリ肥料の補給に利用しているが、オクラやツルムラサキ、スイートバジル等のポット育苗時に市販の土に混ぜて使う「増量材」としても用いている。
くん炭作りは、風のないおだやかな日が望ましい。今日は昼から少し風が出たが、まずまずの「くん炭びより」だった。
くん炭作りにもコツがある。自分で実際にやってみて、身体で体得するしかない。左の画像のように、煙突の周囲の籾殻が黒っぽくなったら、籾殻に火がついた証拠である。
一つが着火したので、もう一つ着火する。 真ん中の画像のように、煙突の下のジョウゴに、落ち葉や枯れた笹のような物を詰め、新聞紙を利用してこれに火をつけ、ジョウゴの周囲に籾殻を置く。
すぐに籾殻をたくさんかぶせると消えてしまうので、ジョウゴの中の落ち葉や枯れた笹が勢いよく燃え出してから、少しずつ籾殻を周囲に追加する。
毎年、この田んぼの、この場所で焼いている。すぐ下の田んぼに井戸があり、水の便もよい。消火する時に一荷(タゴ2つ)の水が必要である。
10時過ぎにスタートして、2つとも着火したのは10時30分頃で、真ん中の画像は3時前である。焼き上がりまでに、4時間半ほどかかった。焼き上がりの時間は、
(1)籾殻の量
(2)籾殻の乾き具合あるいは湿り具合
(3)その日が晴天であるか曇天であるか
(4)その日が風が強いか弱いか
(5)外気温の違い(2月上旬と3月上旬の違い)
等のいろんな条件によって、所要時間は違ってくる。
早く焼けすぎてもよくないし、湿っていて時間がかかり過ぎるのもよくない。4時間半以上~5時間半以内くらいで焼き上がるのがよいと思う。
3時前に一つが焼き上がったので、煙突をとり、クン炭を少し広げて柄杓で水を一荷(タゴ2つ)まわしかけて消火をする。これくらいの量では消えないが、水をニ荷も三荷も続けてかけるのではなく、一荷の水をかけたらすぐに元の小山に戻し、大急ぎで小山の上からジョロで散水して、クン炭表面の温度を下げ、また大急ぎでポリをかぶせて、周囲に土をかぶせて、空気を遮断(酸素を遮断)する方法で消火する。要するに、炭焼き窯の炭を消すのと同じように酸素を遮断して消す。こうすると、水をぶっかけるより出来上がりがパラパラして扱いやすい。
「クン炭びより」は少ないので、明日続けてもう一回焼くつもりである。日曜日は楽しみにしている名古屋女子マラソンがあるし、月曜日はパソコン教室があるので焼けない。
2月は天候が比較的安定しているが、3月は気候の変わり目であり、天気が2~3日で変わる。3月より2月の方がよいクン炭が焼けるが、自分の場合はいつも「追い詰められないと」、仕事が前に進んでくれない。
一昔前までは、クン炭作りは田舎の風物詩だったが、今はほとんど見かけない。自分はこの牧歌的風景が好きである。しかし、簡単な作業ではない。
(1)籾殻を軽四で何回も運んでくるのに半日はかかる。
(2)クン炭作りは、5時間半ほどかかり、風がある日などは、そばについて、しばしば籾殻を煙突に向かってかきあげたり、新たに補充しないと、籾殻が風で飛ばされる。
(3)翌日、袋詰め作業にまた30分はかかるし、それを保管する場所も用意する必要があるし、その保管場所は10月頃まで空かない。もう一回焼くので、クン炭の量も多く、案外と場所をとる。
自分にはどうしても必要なクン炭であるが、結構、時間がかかる作業である。
(今日の夕飯)
サトイモの煮物
キャベツ
トリのから揚げ・・・市販の惣菜
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