あめんぼ通信

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

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牛が開く牧場

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 まるで北海道の農場に来たようだった。目の前には信じられない光景が広がっていた。こんな場所が、家から30分ほどの所にあるとは。
 見渡す限りの地平線ではない。でも見渡す限りの地平線に見える。実はこれ、山の頂上。眼下に町が見える。

 
 牛は柔和だという先入観があったが、ちょっと違っていた。頂上について遠方の牛をしばらく眺めていると、ボクに気が付いて牛がこちらに向かって歩き始めた。そこまではよかったが、そのうち1~2頭が走り始めると、30頭ほどが集団で、それもかなり早い足どりでこっちに向かってきた。

 
 瞬間、ちょっとやばいと思い、電柵の近くまで後ずさりした。いざという時は電柵の外へ逃げればよいと思った。ボクの前で急ブレーキをかけたような止まり方をした。後で岩本さんが「人みしりする」と話されたが、それとはうらはらに、明らかに怒っていた。闘牛に出て来る牛が闘牛士に対するような前足のしぐさをして、鼻息も荒く、これは部外者の自分が一人で縄張りに入ってきているのを怒っている態度だった。だから足を止めて、電柵を背にしてしばらく動かないようにした。しばらく20個ほどの目と「にらめっこ」になったが、やがて方向を変えて歩き始めた。

 
 牛はこの山の中のどこかで寝る。厩舎はないのだから、厳寒の今の時期でも戸外で寝る。牛は寒さにはめっぽう強く、零下10度くらいは平気らしい。牛は胃袋が発酵しているからだと話された。逆に梅雨明け後の30度以上の高温はこたえるらしい。山の頂上だから、風が吹き抜けるのではと思ったが、冬はよく吹くが夏はあまり吹かないと言われる。

 
 山桜もたんさんあって、特に桜の時期の1ヶ月が1年で最も景色がいいらしい。

 
 牛が食べつくして、ほとんど草もなく、隠れ場らしい場所も見当たらないのに、イノシシがよく出るらしい。イノシシは牛を恐れると聞いていたが、岩本さんによると、全く恐れないと言われる。イノシシの檻が設置してあった。

 
 4月、5月、6月、7月は草がよく伸びるので足りるが、他の時期は草が足りないと言われる。

 
 岩本さんの牧場は借地で25ヘクタールほどあり、牛は40頭ほどらしいから、1頭に付き5反(50アール)ほどの面積の広さが与えられているが、牛は大きいからたくさんの草を食べるのだろう。

 
 牛は1日で30リットルほど乳が出るらしい。1ヶ月で900リットル。それでも岩本さんの牛はよく運動をするので1ヶ月700リットルほどしか出ないらしい。日本記録は1日50リットルを超えているらしい。

 
 お産の前2ヶ月は乳搾りは控え、10ヶ月間搾乳されるらしい。朝、晩、搾乳があるので、家を空けることはほとんどなく、家の葬式の時も乳搾りは欠かさなかったと言われる。

 
 岩本さん、66才。後継者がいないらしい。こんな立派な牧場が元の山に戻ってしまうのだろうか。いろいろあって、タフでないと持たないと言われる。

 
 「いろいろある」と言われた言葉がなにをさすのか、一つはすぐにわかった。でも書きたくない。

 
 牛の病気などもあるらしい。厩舎がなく、完全に戸外で飼っているので、病気など寄せ付けないように思えるが、出産直後などが危険性が高いらしい。

 
 乳は朝と晩の2回搾るが、その時には、乳搾りの場所まで300~400メートル(高低ではなく距離)下山してくる。下山してくる理由は、そこで「エサ」が与えられるから。それと「水飲み場」もここしかない。今は1年で最も草が少ない時期なので、サイレージや濃厚飼料(購入エサ)もかなり与えているらしい。確か1日1頭につき30キロと聞いた。ただ、今問題になっている飼料高騰については、岩本さんの場合はさほど影響は受けていないようだった。

 
 ニュージーランドでは、常春で、純粋に「草だけ」で飼えるらしい。

 
 朝起きたらエサを食べるために下山し、水を飲んだり、乳を搾ってもらったりしてから山に戻る。夕方また下山してきて、同じようにして山に帰って行く。

 
 酪農を新たに始めるのは大変である。今は、ブドウ等の果樹でも、トマト等の施設園芸でも、稲作でも、後継者がいない時代なので、希望する第三者に「賃貸」する形態も増えているようである。

 
 苗木を植えて成り始めるまでに3年ほどかかるブドウも、賃借形態なら、持ち主の農園主から指導を受けることもできるし、自分で棚に大きな金額を投資する必要もないし、スタートした1年目から、一定の収入を上げることもできる。

 
 トマト等の施設も後継者がいない時はJAなどが代わって、新たな担い手を募集したりしているようである。

 
 稲作も大型機械や大型倉庫に投資してまではできないので、後継者がいない農家の既存の設備を借りて、田んぼもそのまま引き継ぐような形で稲作を始める人もいるようである。

 
 酪農も後継者がいない場合は、後継者を公募して、引き継ぐような形になるのではなかろうか。年月をかけて築かれた牧場を一代で終わらせてしまうのはあまりに惜しい。

 
 桜が咲く頃、また牛さんに会いたい。


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プロフィール

水田祐助

Author:水田祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在55才、農業歴19年目。農業形態は野菜とハーブのワンパック宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ30羽。25年ほど農業とは無縁だったが、ボクが子供の頃は、家は葉タバコ農家だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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