あめんぼ通信

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

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ワンパック宅配の問題点

 ワンパック宅配の欠点は在庫野菜にもある。市場出荷の場合は、その作物が一番よい状態の時に一括出荷することができるが、ワンパック宅配の場合は、少しずつ、少しずつしか出荷できない。
 春夏作の在庫野菜は、(1)タマネギ (2)ジャガイモ (3)ナンキン (4)トウガン の4種類である。
 
在庫野菜は保管している間に劣化したり、腐ったりする。状態が良い時に一括出荷してしまえれば、こんなことは起こらないのにワンパックの致命的欠陥である。(1)のタマネギは、タマネギを吊るす手間、出荷のつど選別する手間、2~3割ほどは劣化して出荷できなくなる、のトリプルロスがかかってくる。(2)のジャガイモに関しては別段問題はない。(3)のナンキンは自分の場合は9月中旬以降は劣化が多くなるので上旬までに出荷を終わらせる。(4)のトウガンも別に問題はない。


 秋冬作の出荷野菜はほとんど全部が在庫野菜である。だから出荷ロスが極めて多くなる。つまり、秋冬野菜は12月上旬にピークを迎えると、冷蔵庫のような戸外で、2月末までそのまま放置されて、出荷されるのを待つわけだから、その間に、(1)寒さで凍害が出たり、(2)雨による不必要な水分を吸って味が落ちたり、(3)田んぼに放置されている間に病気が発生したりする。


 例えばハクサイは強い寒さに弱いので、年が明けると残りのハクサイを全て収穫して一箇所に集め、上から藁や寒冷紗をかぶせておく。それでもかなり劣化するので、2~3割多めに作付をしておく必要がある。


 例えばサトイモは10月、11月の2ヶ月はとてもおいしいのに、12月以降は寒さや、いらぬ水分を吸収して味が徐々に落ちていく。


 例えばネギは12月いっぱいはとても状態がよいのに、年が明けると寒さののために先枯れ(先が黄色になる)が多く出て、緑の部分が減るし、先枯れ部分を除く手間が大分増える。


 例えばダイコンは収穫期には上半分が土中から飛び出してくる(これは不思議)ので、飛び出した部分が小寒に入る頃には凍害で傷む。そのため残り全部を引き抜いて、ヨコに寝かせて、2センチほど土をかぶせて外気に触れないようにする。個人客が多い場合はこれが大変であるし、出荷のつどまた少しずつ掘り出し、出荷で残ったらまた埋め戻すと言う、これもトリプルロス。


 例えばレタスは12月下旬頃には寒さで腐ってくる。だから、出荷軒数から逆算して何本定植するかを決めないと、出荷ロスが大きい。


 例えば、シュンギクもレタスと同じく寒さに弱く、年明け頃には茶色っぽくなるので、薄い毛布のような素材でシュンギクを覆う。寒さにあたらないとおいしくならないのに、強い寒さには弱いという、なんとも小難しい野菜である。収穫適期幅が1ヶ月ほどしかない。


 寒さでも傷まないのはキャベツとニンジンとホウレンソウくらいである。カブは寒さ避けに土中に埋めておくと、2月が暖かい年は2次成長を始めて、出荷しずらくなる。


 サツマイモは7度以下が続くと腐敗してくるので、12月20日頃までに出荷を終える。ヤーコンは外観がよくない。その分、多めに入れたりするので採算が悪い。ヤーコンよりサツマイモの方がはるかにお得。


 市場出荷では、個々の野菜の長さや重さ、外観の基準がきびしく、はねられる野菜がかなり出ると思うが、ワンパック宅配も、少しずつしか送れないという出荷上の欠点が克服不可能なので、多くの出荷ロスが出る。


 もう一つ、市場出荷にない欠点がワンパックにある。それは、ワンパックの場合、その作物の一番よい状態の時に送れることは多くないということである。例えばレタスを例に考えると、まだ巻きが弱いうちから出荷を始めて、ピークを過ぎて、少々過塾気味でも出荷せざるをえなくなるという点である。これを「ずらし蒔き」して対応するのは考えられない。ずらし蒔きすると、このロスが2倍になる。ずらし蒔きが可能なほど、個々の作物の種蒔きの最適期幅は長くはないのである。家庭菜園ではずらし蒔きはまずしない。ずらし蒔きはやはり反自然的であるから、多少ずれただけでも害虫や病気も多くなるだろうし、手間も多目にかかると思う。ずらし蒔きをせざるを得ない作物もあるが、それは自分の場合、春夏作のキュウリ(4月1日、5月15日、6月15日、7月15日)と秋冬作のホウレンソウ(9月28日、10月2日、10月5日)、シュンギク(9月7日、9月12日)の3種類だけである。


 ワンパック宅配方式は、生産者から直接に消費者や料理店に送るという意味で、従来の市場出荷にはない斬新な、未来を先取りしたような出荷形態と目されているが、上記のような欠点を内包しているため、始めてもなかなか続かないのではなかろうか。つまり、単価的に見て、市場出荷方式に対抗できない。無農薬野菜の生産者も無農薬野菜の専門作物に特化されていく傾向がある。


 

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プロフィール

水田祐助

Author:水田祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在55才、農業歴19年目。農業形態は野菜とハーブのワンパック宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ30羽。25年ほど農業とは無縁だったが、ボクが子供の頃は、家は葉タバコ農家だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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