あめんぼ通信

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

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土と人間疎外

 リサイクルは「土」を通してする。


 家から出る生ゴミ(ジャガイモの皮、タマネギの皮、エンサイの茎、タマゴの殻等)は、月桂樹やキンカンを植えている小さな畑の一角に捨てている。特定の場所に捨てているのは、どこにでも捨てると、田んぼに雑菌が増えると思うからである。生ゴミのほとんどは、台所の流し場であり、水で流してはいるが、合成洗剤の残留も考えられるので、特定の場所にしか捨てない。その生ゴミが堆積されて「うず高く」なったりはしない。自然に天日乾燥されて、量的にはごく少なくなる。すでにその場所は10年ほどになるが、下のほうから徐々に土に戻っているのだろうと思う。

 
 一昔前は家から出るウ○コは「下肥」と言って、野菜のよい肥料だった。20年ほど前から、集落では水洗便所が増え、そうでない家は業者に汲み取りを依頼するようになった。その時からウ○コは、土への循環を拒否され、産業廃棄物扱いを受けるようになった。これは単なる変化ではなく、歴史的大転換になったと捉えるべきである。それまでのリサイクルと言う考え方から産業廃棄物という考え方に転換になったわけだから。
 江戸時代には下肥は値段がつけられて売買されていた。武士のウ○コは高く、商人のウ○コは安かったそうである。武士は動物性タンパクや植物性タンパクを商人より多く摂取していたので、肥料効果もそれだけ高いと見なされたわけである。

 
 土葬から火葬への変化も歴史的大変換になった。土葬(いずれは土に戻っていく)から火葬(産業廃棄物扱い)になり、人間そのものを変えてしまったと言える。土葬から火葬になったということは、自然界から見て、人間という種だけ増えすぎてしまったことを意味する。だから死体も産業廃棄物になったわけである。先ほどのウ○コと同じである。奇しくも、当集落においては、有益な下肥→産業廃棄物、土葬→火葬は、ほとんど同一の時期だった。どこの田舎でも、これは時期を同じくすると思う。都会はもともと自然界から乖離された砂上の楼閣だから、ここでは言及しない。
 
 
 死んだ人間の魂は、土葬によって土に戻り、土からまた新しい生命が芽生えてくるという「輪廻転生」を信じることができたのに、火葬になることによって、死んだ人間の魂は幽霊のように彷徨い、行き場をなくしている。このことが、ばかげたスピリチュアルに頼ったり、宗教に依存してお布施を巻き上げられることにつながっている。

 
 昔の人の信仰は単なる「土着信仰」だった。土神様だったのである。野辺のお地蔵様の前で、ただひたすら祈り、ただひたすら念じ続けることが信仰だった。


 大地から遠く離された空間で、人間が生まれ、成長すると、故郷の喪失、土からの人間疎外が終生つきまとう。いったい自分の故郷はどこか、自分のアイデンティティはどこに立脚しているのかわからなくなり、自己の喪失につながる。

 
 故郷とは土につながった意識のものである。一昔前の人には、出身の故郷があるが、50才以下の人は、すでに故郷を喪失している人が多いのではなかろうか。都会の空間で生まれ育つと、子供の頃に住んでいた場所は、すでに取り壊されてしまったり、まわりの風景が一変したりして、いったい自分の故郷はどこだろうという疑念が沸き起こる。母の体内は一時的な場所であり故郷とは言わない。


 故郷は別に必要のないものかも知れない。ただ自分は、企業のような組織には帰属していないし、他に何らの組織にも属していないので、確かな自分の存在を確認できる場所は、生まれ育った田舎の故郷しかない。好きな集落ではないし、集落への帰属意識もあまりないし、風光明媚な場所でもないが、ここは、ゆるぐことのない自分の立脚点である。この場所を背にして発信し、この場所を背にして戦っていくだろう。

 
 喜びも悲しみも田んぼの土に戻してきたが、大地はそれらを全て受けいれて浄化してくれ、また新たなエネルギーを大地からもらってきた。土は自分の魂のリサイクルの場所だった。

 
 スピリチュアルや宗教は決してあなたの心を癒してはくれない。癒してくれるのは大地だけだと思う。土は何千年にもわたって人間の輪廻転生の源だった。死せる魂は大地に戻り、大地からまた新しい命が生まれてくると考えられた。その土と離されてしまったことが「人間疎外」の源であり、大多数の人(大多数のニワトリ)はもう土の上に戻れなくなっていることに、人間(ニワトリ)の悲劇がある。




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プロフィール

水田祐助

Author:水田祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在55才、農業歴19年目。農業形態は野菜とハーブのワンパック宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ30羽。25年ほど農業とは無縁だったが、ボクが子供の頃は、家は葉タバコ農家だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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