あめんぼ通信

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

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熊の出没

(2004年、10月の通信です) 

 最近のテレビで、全国各地の「熊の出没」が何度も取り上げられている。柿の木に登って食べている様子や、トリ小屋の金網が破られてニワトリが被害にあった様子や、人間も襲われるので、子供はランドセルに鈴をつけて登下校している様子等が映し出されていた。山の中に食べ物がなくなっているのだろう。
 10月の山の中には、マツタケやシメジなどのキノコ類、アケビ、山ナスビ、山ブドウなどの食べ物がいっぱいあったが、今、山は荒れ放題で、マツタケなどは全く生えなくなったし、山ナスビや山ブドウなどもほとんど見かけなくなった。これらの低木は、少しは「木漏れ日」があたらないと、育たない。

 
 一世代前の父母の世代には、稲秋が終わると、皆、競争で山に入り、地肌を「なめるくらい」、山をきれいにしていたと、生前、父が何度か話していた。
 
 
 ボクがまだ小学校にあがる前の頃、祖母に連れられて、遠方の山の下刈りに行き、飯ごう炊飯で、樹木の「赤ハシ」を利用して昼ごはんを食べた記憶がうっすらと残っている。「風呂焚き」や「クド」の炊きつけに、落ち葉や松がさ、焚き木などが、大量に必要だったので、冬期間の間に、1年分の落ち葉や焚き木などを確保する必要があった。まだプロパンガスが無かった時代である。

 
 昔建てられた田舎家では、軒下などに、「落ち葉や焚き木置き場」が設けられていた。我が家にもあり、現在はタマネギの吊るし場にしている。山の地面の落ち葉を熊手でかき集めて、きれいにきれいにしていたので、太陽光線の木漏れ日が、地肌にまで届いた。そこは、キノコのような菌類の絶好の繁殖場となった。そして、大木は、炭焼きや割り木(焚きつけ用)のために適度に伐採されていたので、山ナスビ(今のブルーベリーのような実)などの低木には、まことに好条件となった。

 
 現在、10月といえども、山に入る人は田舎でも皆無となった。もちろん自分も用がないので入らない。入ろうにも「ごそ」になっていて入れない。田んぼのすぐ傍らの低山は、45年ほど前には、たくさんマツタケが生えたので、10月の20日前後には、学校から帰ると、よくマツタケ引きに行った記憶がある。今は山は荒れ放題なので、マツタケなど生えない。

 
 山に分け入ると急に、原始のDNAを呼びさまされるような「わくわく感」と「恐怖感」にとらわれたことを、45年後の今でも思い出すことができる。それまで2000年以上の年月に渡って、山は「命の源」だった。それが、たった45年ほどの間に不必要になった。これは「文明の進歩」と考えられているが、実は、人間が自然(山の中)から切り離されて「文明からの疎外」を感じるようになった原点であると思う。そして、2000年以上の昔から、タヌキやクマやイノシシは、その「聖なる山」の中で、十二分に食べ物を見つけることができた。だから、里(人里)にまで、出てくる必要もなかった。
 落ち葉かきや下草刈り、高木の適度な伐採などで、山を大事に大事に「育てて」きたことが、結局、タヌキやイノシシ、クマやシカのエサ(菌類、低木の果樹、山栗、山芋、どんぐり等)の供給に役立ち、人間と野生動物が2000年以上にわたって共存してきたのである。しかし、たった45年ほどの間の「文明の急激な変化」により、山の生態系は崩れ、これらの野生動物も食べ物を求めて、人里に進出するようになった。人里には、柿の木や野菜畑があり稲が実っている。そして次の世代は、「証城寺」のタヌキや、「七つの子」のカラスような詩的な感情ではなく、「害獣」として見るようになった。
 
 
 今、山村では、これらの野生動物たちの大規模な進出により悲鳴をあげている。水がきれいで風光明媚な、農業に適した山村は、農業に不適切な地となり、車や人通りの多い都市近郊の田んぼでないと、野菜や米や果樹が作りづらくなっている。しかし、都市近郊では、価格が高騰すると2本足の害獣がしばしば出没するので、ここでも防御がむずかしくなっている。


 
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プロフィール

水田祐助

Author:水田祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在55才、農業歴19年目。農業形態は野菜とハーブのワンパック宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ30羽。25年ほど農業とは無縁だったが、ボクが子供の頃は、家は葉タバコ農家だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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