あめんぼ通信

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

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ライフラインの攻防

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 450本ほどのスイートバジルを苗箱から「鉢上げ」して、1日1回の水やりと、その日の天候によって、ポリの裾を少し開けたり、また閉めたりしながら育苗していると、45年ほど前の「葉タバコの育苗」を思い出す。これの6~8倍くらいの数の育苗だったと思う。


 葉タバコという換金作物を、両親と祖父母は「よう作ったなあ」と思う。えらかっただろう。自分もやるようになって初めて、農業のえらさがわかる。


 もう少し、ゆっくりした農業はできなかったのだろうか。あれでは、農業の楽しみなどなく、重労働なだけだ。そんな葉タバコ作りだった。

 
 なぜもっと楽しい農業ができなかったのだろう。それは、その頃からすでに、家庭経済が資本主義経済に巻き込まれてしまい、とにかく、農作物をカネにしなければ、生活ができなかったのだ。 
 
農業はカネにならず、まもなく葉タバコを止め、両親とも日雇いの仕事に出るようになった。


 人間であることの究極の癒しは、大地を耕すことではなかろうか。現代人の悲劇は、あまりにも土から離された生活をせざるをえない・・・ということにある。
 人類は、19世紀末頃までは、「万人直耕」の時代だった。20世紀に入ってから急激に、「分業化」「専門化」が始まり、それと並行するように、人々は、土から離れた職業を仕事として選択するようになった。そして、稼いだカネで、必要な衣食住を買うという社会システムができあがった。イギリスで始まった産業革命が自給自足主義⇒資本主義という社会システムへの移行を促した。そのシステム(分業化、専門化)に取りこまれた人間は、やがて、食料の自給ができなくなっていく。もちろん、自分で作って自給するより、他の仕事で手っ取り早く稼いで、それを食料の購入にあてた方がはるかに経済的なメリットにもなった。現在は、田舎でも自給できるものは100%ないということを、都会の人も覚えておいて下さい。

 
 現在という時代は、生きていくための最低限の費用があまりに高すぎる。

(1) ①電話代 ②電気代 ③新聞代 ④NHK受信料

(2) ①ガス代 ②灯油代 ③上水道代 ④下水道代(数年後)

(3) ①国民健康保険料 ②国民年金保険料 ③生命保険料 ④火災保険料

(4) ①固定資産税 ②車両関係費 ③冠婚葬祭費 ④最低限の家庭電化製品

 
 上記4類型4項目は、「自給したり」「支払いを拒否したり」「物々交換したり」することはできず、金銭での支払いをせまられる。今から、たった50年ほど前、これらを支払う必要があっただろうか。必要があったのは、電気代と冠婚葬祭費だけである。これら4類型4項目の支払いのためだけでも、年間に約100万も稼がなければならない。

 
 自分の中で、いらないと思えるものを、ひとつ、またひとつと捨て去っていくことは、「ダイエット」する感覚と同じである。そして、ぎりぎりのところまでダイエットして、最後に残ったのが、上記4類型4項目だった。これ以上ダイエットできないところまできたら、ここからは戦いである。

(1)働き過ぎになることを控え

(2)あまりに努力し続けて、身体がこわれるのを防ぎ

(3)辛苦刻苦してまで、自分を何者かに仕立て上げる(つまり手に職を持つ)ことから自分を解放してあげる

 
 そして、できれば、組織に属さなくても生きていける道を模索する。芸術家や特別の才能や資格を持った一部の人たちだけが、組織に属さなくても食っていけると考える必要はない。普通に農業をしているのに、

(1)食っていけない・・・

(2)生活していけない・・・

(3)生きていけない・・・

 というのは、「社会のシステム」が誤っている。


 4類型4項目の内、電気代と冠婚葬祭費しかカネを払う必要がなかった、たった50年前に生きた人たちの方が、

(1)肉体的にも楽で

(2)精神的にも豊かで

(3)時間的にもゆとりがあった

 と思える。

戦争があり、はやり病があった、近世以前の封建主義的な時代であっても、自給自足が成り立っていたことは、視点を代えて考察すれば、「現代人より、とても豊か」だったと言える。


 リストラや倒産により、これ以上ダイエットできない4類型4項目が、払えない状態になった時、どうすればよいか。今の社会システムでは、他に選択の余地は一切なく、家族離散、ホームレス、窃盗、自殺 のような状態に追い込まれる。50年前のように、「カネがなくても生活がまわっていく自給自足システム」が、根底から破壊されている。カネがすべての世の中になっている。これが資本主義だと思う。こそ泥、ひったくり、窃盗、恐喝、悪質な訪問販売などが、絶えず横行する。消費税はますますアップするであろうが、「買った方が自給するよりはるかに安くつく」ので、買わざるをえないシステムの中に我々は生存している。

 
 今、自給自足を取り戻せるような社会システムを新たに構築していかなければ、人間は一生、資本(カネ)の奴隷となってしまう。自給自足主義は、資本主義とは共存できないシステムである。

 
 一見、自由な民主主義と思える資本主義でも、子供が進路を決める場合、ほとんど選択肢がない。途中リタイアは許されず、学校を卒業した年に受験して、偶然あるいはたまたま受かった職場に、いやがおうなく、定年まで勤めるという構図である。よそ見をせず、努力、忍耐、与えられた職場(仕事)を天職もしくは運命と考え、その枠内で「道を追求する」ことしか、生きていく手段がない。あまり疑問を持たなかった人間が、ピラミッドの上へ上へとあがっていく。そんな社会で生きていかざるをえない2人の娘には厳しい時代である。かといって、家庭にとどまって奥様業をしていられる時代ではない。

 
 資本主義の次の段階として、古くて新しい自給自足型システムの社会が構築されていかなければ、次の世代の子供たちに、未来は見えない。そんなに稼がなくても生きていける社会の構築である。



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プロフィール

水田祐助

Author:水田祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在55才、農業歴19年目。農業形態は野菜とハーブのワンパック宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ30羽。25年ほど農業とは無縁だったが、ボクが子供の頃は、家は葉タバコ農家だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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