あめんぼ通信

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

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今月の熱き心くん

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 日本有機農業研究会が発行する「土と健康」誌の4・5月合併号に、建部町のWさんの手記が掲載された。シリーズの「今月の熱き心くん」のコーナーだった。


 田舎移住や有機農業をめざす人にとって、この雑誌は、かなり役に立つと思う。ずっと以前には、「自然食通信」や「百姓天国」という素晴らしい本があったが、現在は廃刊になり、残っているのは「土と健康」誌だけである。リンクにも載させてもらっています。


 以下、Wさんの掲載分を原文のまま紹介します。


投資せず収穫する「自然農」

化学物質過敏症になってから百姓始めて8年。岡山に来て1年。年収はかつての月収程度ですが、それでも全然貧しくない。楽に生活が回ってゆくから不思議です。
 
 陽が出たら野良へ行く。暮れたら帰る。薪風呂を焚き飯を作る。風呂に入り飯を喰う。暖まったら寝てしまう。冬の日常です。暖房使う暇がない。電気も昼間は使わない。水は山水。買い物は生協が巡回します。
 
 固定した出費は、農地込み家賃月3千円。部落費年3千円。電気代は冷蔵庫と炊飯器を毎日使って月1400円。ガスはボンベ買い取りで年3千円以内。汲取り年3千円程度。通信費はネットも含めて月3千円程度。軽トラは年間走行3千キロ程度で燃料3万円以内。任意保険料と税で約2万円。車検は自分で出すので、法定料金が3万数千円。整備しても5万以内。
 
 そして重要なのは自然農です。不耕起、無肥料、自家採取では、金のかけようがありません。投資もせずに収穫だけが発生します。ぜーんぶで、年間20万以内です。食物はほぼ自給、他に欲しい物を買っても、年に35万もあれば十分です。金が余らない程度に稼いでいます。

お金に依存しすぎない生き方

 農業は割りに合わない仕事だと言われます。でもそれはきっと、仕事のすべてをお金に換算しようとするからではないでしょうか。死から生を生む百姓ほど生産性の高い仕事はないはずです。それでも農作物が金にならないなら、僕は必要最小限しか「金に換えない」。真なる大根の価値を、自ら下げることはない。
 
 確かにお金無しでは生活できません。でも現代人は、あまりにもお金に頼りすぎていないか。当然のように金で済ませていたことも、やれば自分でできることがたくさんある。それを教えてくれたのが百姓でした。時間あたりの労賃が安いことも、チャレンジ精神の大きな味方です。ユーザー車検で3万浮くなら、3日かけても整備します。自分でできるようになることは、とても嬉しいことです。未知の領域への誘い。手間を惜しまず体験を得る。
 
 かつての僕は能率や効率に囚われ、時間とお金に追われて、自分の生活を失っていました。でも百姓となって8年、土と共に在るこの生活の先に、確かな未来が見え始めました。
 
 僕の先祖もずっとそうしてきた。その同じ道を今僕も歩いている。この道はきっと確かです。僕は、このまま生涯現役で「百姓」として生き続けていきたいと思います。最後にいいます。
 百姓は、古くて新しい職業だ。
 百姓万歳!百姓に勝るもの無し!


 なお、上記の掲載分については、他に転載したり、引用されたりする場合は、Wさんまでご一報をお願い致します。メールアドレスは下記の通りです。
go4nobu@aqua.plala.or.jp


 Wさんは「田舎暮らし」が上手な人だと思う。そして、農作物を売ってそれを生活の足しにするという農業依存型ではないので、全くあくせくしていない。ライフラインには費用をほとんどかけず、農業に投資をしていない。


 年間に35万円もあれば十分というWさんの記事を読んで、えー、うっそうー、ほんとーと大多数の人は思われると思います。でもこれがWさんの普通の暮らし方です。

 
 Wさんが書かれていないことで少し付け加えるなら、Wさんは、単に化学物質過敏症なだけで、他は全く健康体であるということです。歯も目もとてもよいし、その他に、内臓は全く健康そのもののようです。つまり、医療費は全くかかっていない。
 「小食」をされていて、確か、朝は青汁を一杯だけ、そして、去年は米が作れなかったので、サトイモやサツマイモ
が主食の夕飯だったようです。

 
 もう一つ、住まわれている地域がいいと思う。平均年齢が70歳を超えている集落であり、人家もまばらで、廃村とまではいかないが、過疎の山村である。

 
 もう一つ、Wさんは器用な人である。草刈機やチェーンソーの刃が研げたり、ちょっとした大工仕事、ちょっとした農具の修理もできる。「田舎暮らし適塾」があるなら、その講師ができそうな人である。

 
 もう一つ、学習塾のアルバイトができるというのも、農業に依存しない生き方をするうえで、Wさんの大きな武器であると思う。


 もしあなたが、大都会の小さな一室で、一人悶々とした日々を送っているなら、過疎の山村への逃避行も選択肢の一つとして考える価値はあると思います。大都会に留まり続けても、何の展望も見出せないような気がします。
 
 
 Wさんも書かれているように、農業に依存した田舎暮らしは、凡人には、はっきりいって「無理」です。がむしゃらに農業をやってきた農家の後継ぎの自分でも、農業収入は、年間手取りが100万にはならない世界です。凡人にはそんなもんです。そして、イノシシやシカの密度が加速度的に増えており、ますます農業環境は厳しくなっています。
 
 
 そのうえ、農業をしようとすれば「初期投資」がびっくりするほどかかります。ほとんど農業に投資してこなかったと思える自分でも、
(1)農業用軽四→62万(当初)

(2)物置6坪と鳥小屋4坪半→42万

(3)管理機→8万

(4)エンジンポンプとホース→7万

(5)草刈機(2台目)→6万

(6)井戸→27万

(7)乗用トラクタ→父が買っていた

 その他、農具消耗品と種苗費だけで、年平均10万円ほどかかります。
 
 Wさんも書かれているが、農業には「決して投資しない」ことがポイントのように思います。投資すると、回収ができなくなる恐れがあります。農業資金を借りるなど論外です。

 
 田舎にも展望はないかもしれません。でも、山の中で暮らしていれば、自分の中のもつれてしまった糸も少しずつほどけていくような気がします。
 
 
 「農業に依存しない田舎暮らし」を、自分も、Wさんから学ぼうと思う。

 

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プロフィール

水田祐助

Author:水田祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在55才、農業歴19年目。農業形態は野菜とハーブのワンパック宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ30羽。25年ほど農業とは無縁だったが、ボクが子供の頃は、家は葉タバコ農家だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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