あめんぼ通信

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

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忍び寄るイノシシの恐怖


自分は若い人に農業を勧めたりはしない。逆に「農業は止めておいた方がいい」という理由を伝えるためにブログを書いている。もし、農業を賛美しているように取られるなら、それは自分の本意ではないし、そのように誤解して受け取られているとしたら、反省します。


 次の記事は2年半ほど前のあめんぼ通信(ワンパックの顧客に毎月1回送付)に書いた作文である。この時はまだ、当地にイノシシは進出していなかった。去年の8月末に、当地に初めてイノシシが出現した。

 
 農業は止めておいた方がいいという理由の大きな一つは、イノシシやシカやサルなどの害獣の、奥山から里山への進出である。これらの害獣が日夜あばれている地域では、害獣の防御柵を取り付ける必要がある。そのための設置費用と費やす労力のことを考えたら、若い世代の農業への転進は「無理」なのではないかとさえ思う。
 
 
 ニワトリを飼うのなら、5つの能力が必要であり、そのうちの1つである「トリ小屋を自分で建てる」という能力が欠けていたら、他の4つに適性があっても、ニワトリはたくさんは飼えないと思うが、これと同じ理由が野菜にも当てはまる。つまり、イノシシやシカなどから野菜を守るための防御柵(多くは電柵)を設置したり、動かしたり、また新たに設置したりという設備造作が「不得意な人」は、害獣の出没する地域で農業をするのは不可能ではないかと思う。たとえ野菜作りの他の4つの能力に長じていたとしても。


 去年の8月末にイノシシが初めて現れてからも、自分は農業を続けている。81000円ほど電柵設置費用がかかった。その後、「草刈の不便さ」、「定期的な見回り」、という余計な労力もかかり始めた。
 その電柵をニンジンに移そうと思ったが、負担に感じて、とうとうしなかったが、運良くニンジンはやられなかった。そしてこの春、また電柵を移すことが負担になり、サツマイモの「連作」を考えている。
 不得意なことや弱点を突っつかれているような気がするが、まだ、はぐれイノシシであり、イノシシの密度は低いので救われている。

 
 今までは対岸の火事だったのに、火の粉が自分の方にも飛び火して初めて、同じ立場に立った。自分で体感して初めて、イノシシの密度の高い地域で農業をしている人の苦労が、少しわかり始めた。


(2004年11月)

 Kさんは今年、500本余り植えていたサツマイモ畑がイノシシにやられて全滅した。ダイコン畑やニンジン畑にも入られ大きな被害。ゴボウ畑も4分の1くらい荒らされた。周囲をトタンや鉄柵で囲んでいるのに、この被害である。もっと頑丈にしないと、と話されていたが、自分はイノシシの出るような所で農業をする自信はない。囲いや鉄柵などの設備造作は、自分の特に苦手な分野であるし、費用も10万円以上かかるだろうし、「その後の乗用トラクタでの耕運時の不便さ」、「草刈の不便さ」、「田んぼに出たり入ったりする時の不便さ」などを考えたら、農業からの撤退を余儀なくされるかもしれない。イノシシはまさに、自分にとっては「生命線」の害獣である。国道2号線のすぐ北側の、お隣の備前市では、すでにイノシシの被害が頻発している。国道2号線の南3キロに位置する当地はまだ、イノシシの進攻をまぬがれている。忍び寄る恐怖・・・。

 
 Kさんの集落では、すでに、家庭菜園もだんだん作らなくなってきていると言われる。丹精こめて作っても、イノシシにやられ続けると、だんだんあほらしくなってくるらしい。すでに「檻の中」で野菜や果樹を作っている状態である。その檻もかなり頑丈なものにしないと壊される。

 
 熊は人間を襲うが、イノシシは人間を襲っては来ないので、熊のように報道はされないが、イノシシの密度は、すでに限界を超えている。イノシシの防御に費やさざるを得ない農業者のエネルギーは、全農業労働の何割を占めるだろう。「技術力」とか「営業力」以前に「防御力」が、現在の農業者には要求される。自分は、カラスやタヌキが狙う5作物(①スイカ ②キンウリ ③トウモロコシ ④トマト ⑤イチゴ)の内、スイカとトマト以外の作物は、作るのを止めてからすでに5~6年以上になる。トマトは作ったり、作らなかったりで、防御以前に病気が発生して終わったり、防御の手間ひまが取れずに、結局投げ出してしまったこともある。スイカだけは毎年6~7本定植して、厳重な囲いをしている。スイカにかかる全農作業の内、約半分が「防御」に費やす時間である。


 自分が第一線から退くのが早いか、それとも当地にイノシシが進攻してくるのが早いかカウントダウンするような気持ちになっている。早くきた場合、イノシシとは戦えないと思う。そのことも意識しながら農業をしている。

 

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プロフィール

水田祐助

Author:水田祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在55才、農業歴19年目。農業形態は野菜とハーブのワンパック宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ30羽。25年ほど農業とは無縁だったが、ボクが子供の頃は、家は葉タバコ農家だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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