あめんぼ通信

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

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新天地を求めて (3)


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 定年帰農の場合も現役帰農の場合も、どちらの場合にも2通りの選択がある。。過疎の山村集落にするか、それとも比較的便利な地方都市近郊にするかである。山村集落では必ずイノシシが出て、農作物は防御柵で囲んで作る必要がある。しかし、村の出仕事や行事に人手が足らなくて困っている状態だから地域に受け入れられることも早い。平均年齢も70才を超えている可能性があり、15年もすれば、その集落内で当人が最も長い居住者になる可能性もある。

 
 
地方都市近郊ならイノシシがまだ進出していない可能性もあり、農作物は作りやすい。しかしそのような田舎では集落がまだ十分に機能しており、排他的ではないにしても、その地域にとけ込んで行くにはかなりの年数がかかるように思う。田舎の集落では3代以上前から続いている家が多いので、初代だと、「よそ者」と言われる。

45年ほど前は農業をしていた家が多いので、子供心に、集落に住んでいた、今は亡きおじいちゃん、おばあちゃんの話し方や歩き方、呼ばれ方までうっすらと記憶に残っている。だから、つき合いが多い少ないにかかわらず、集落内の家の代々の変遷はよく覚えている。
 今から2代前の世代はまだ自転車もなかった時代だから、集落内、もしくは隣の集落との結婚縁組が多い。我家でも祖母は同じ集落内から嫁いできているし、祖父の姉は同じ集落内に嫁いでいる。そして、祖父の父は、祖父の姉が嫁いだ家から分家して出た我家の初代である。だから、集落内に親戚が多い。2代前までは、どこの集落でもこれと似たり寄ったりのことが行われていたのだと思う。代が代わって付き合いが薄くなったと言っても、そういう集落へよそから入ってくると、やりづらい面も出てくると思う。


 どちらの田舎をめざすか、はっきり気持ちを整理してから選択した方がよいと思う。山村の過疎集落では、スーパー、銀行、郵便局、役所、病院等が近くになく、車で30分以上かかる場合もある。70代前半くらいまでは運転に支障はなくても、80代に入ると運転のことも考慮せぜるをえない。でもボクは、田舎移住なら、山村の過疎集落を勧める。自分が住んでいるような、集落が集落として機能している集落は勧めない。
 いずれに移住するにしても、土地や家屋を購入して入るのではなく、借地、借家で入った方がよい。現役帰農の場合、これは必須である。購入できる余裕なカネがあるなら生活費にとっておいて下さい。
 定年移住の場合でも、新しい土地で元気に活動できる期間は15年ほどだし、たった15年ほどのために退職金や貯金や年金までつぎこむのは不経済である。理由は、転売できる可能性がごく少ない。今は田舎の田畑や土地家屋の資産価値はほとんどない。不動産屋を通すと、買うのはとても高く、売るのは二束三文になる。次の代の子供が、その地に引き続いて住むかどうかも疑問である。県外から入植してきた友人たちの子供は、たいてい彼らの親の出身地である都会に就職して、すでに家を離れている。
 入植者も一代限りの農業をしている。元々の田舎の親子のように農業を否定的にとらえることは少なくても、入植者の親子も農業に希望を持てなくなっている。だから、借地借家で移住した方が、購入するよりはるかに賢明な選択だと思う。購入すると、最後の最後になって田畑や土地家屋に縛られる可能性も否定できない。その土地の水や空気が、あなたに合うかどうかは2~3年そこで生活してみないとわからない。
 借地借家の物件は山村集落だけでなく、地方都市近郊にもごろごろしている。不動産屋を通さずに「人づてで探す」ということを肝に銘じておいて欲しい。


 田舎でも15~20年ほど前から、親と同居したり、婿養子さんをもらったりすることが少なくなった。子供も2人以下が多く、県外の企業に勤めている人は勤務先の近くで家を建てている人もいる。だから自分の集落でもだんだん空家が多くなっている。そんなに古いこともなく、まだ十分住むことができる空家である。自分の生まれ育った家だから売りたくはないが、住まないと古びるから、誰か住んでくれるなら貸してくれる可能性もある。知っている人からの紹介、もしくは紹介の紹介と言う形で、ある程度身元の知れた人であると貸すほうも安心して貸すことができる。田舎だからもちろん田畑つきである。こういう場所が現役(定年)移住の狙い目だと思う。つまり、探す場合に不動産屋を通すことなく「人づて」で探した方がはるかに安いし選択の誤りも少ない。


 「人づて」がない・・・と言われる人はこれから人づてを捜すことである。各県の図書館などに電話で聞いてみれば、その県の有機農業者を紹介している出版物(岡山ではエコ読本という題名の本が出ている)を教えてくれたり、農業関係者の情報等も知っている。あるいは日本有機農業研究会が発行している「有機農業者マップ」等を見て、定年移住を希望する県でワンパック宅配をしている農業者の野菜、果樹、タマゴ、炭、パン等のいずれかを1度購入してみる。ワンパック送料込みで3千円ほどの価格である。野菜なら月1回送ってもらうと10ヶ月(3月4月は端境期で野菜がない)で3万円、月2回で6万円ほどである。送料分だけ高いかも知れないが、送料分をはるかに上回る「野菜の知識」「農業者との新しい人間関係」が将来の移住に役立つ。
 インターネットなどを見て移住を希望する県の農業者から米や果樹を買うのもよい。できれば値段が高い安いでなく小さな取り扱いの農業者を選ぶ。200人の顧客の一人であるより40人の顧客の一人である方が大切にされる。米は保存がきくし、現地まで車で買いに行けば、その地域の風景や交通状況などを実際に目で確かめることができるし、生産者の話も聞ける。リンゴ農家やミカン農家ではインターネットを利用して直販をしている農家も多い。。時々、これらの農家のホームページを見ることは楽しいし参考にもなる。移住を考えている県の情報を得るには、このような第1次産業の生産者を探してみるのも1方法である。消費者との直接販売をしている生産者は安全指向(そうでないと消費者が買ってくれない)であるし、送料込みの価格でもそんなに高くない(情報等の付加価値も買える)し、おまけも入ってくるはずである。そうやって何年か買い続けたら、温泉旅行などを兼ねて現地を訪ねて見るのもよい。農業者自身が泊まれる施設を備えている場合もあるし、県の事業である「美しい森施設」など安価に泊まれる施設が田舎にもたくさんある。


 60才になってから田舎の親戚や田舎の友人を作ろうとするのは遅すぎる。57~58才でもちょっと遅い。現役帰農なら若い時代から、定年帰農でも50代前半くらいからスタートをする必要がある。スタートが早ければ、カネをあまり投資せずに、しかも失敗しない移住地の選択が可能になると思う。数年かけて田舎の親戚や田舎の友人が形作れたら、その人たちの知っている範囲で田舎の空家を紹介してくれるかもしれないし、友人や知人を介して他の田舎を紹介してくれる可能性もある。不動産屋を通すよりはるかに安価であるし、誰それの紹介ということになると、人間関係まで一つできあがっていることにもなる。不動産屋の紹介だと、どういう人が地域に入ってくるかわからないが、人づての紹介だと、田舎の人は信用するし、ある程度安心もする。もちろん、土地家屋を購入するのではなく借地借家で移住するのだから、貯金も退職金も少なく年金だよりという人にも定年移住の道が開ける可能性がある。購入して入った、借地借家で入ったという入り方の違いで付き合い方が違ってくるとは思えない。かえって、借地借家の方がお互いに気軽に付き合える面も多いと思う。借地借家だと「その地に縛られない」という事が、本人やその家族にとって最大のメリットだと思う。


 自分と同じころ農業を始めた入植者は、田畑や土地家屋を購入して入られた方も多い。その方たちは入植してすでに15年以上が経過しているにもかかわらず、いまだに払い続けている人も何人かいる。同じ農業者として彼らの現実が痛切に響いてくる。だから、現役移住者にも定年移住者にも、どうしても、借地借家で移住を実現させてほしいと思う。


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プロフィール

水田祐助

Author:水田祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在55才、農業歴19年目。農業形態は野菜とハーブのワンパック宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ30羽。25年ほど農業とは無縁だったが、ボクが子供の頃は、家は葉タバコ農家だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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