あめんぼ通信

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

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里山の風景

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  県外から入植して来られた友人たちの住む山村に遊びに行かせてもらうのは自分の楽しみの一つである。ひなびた田舎家や、音をたてて流れる谷川、まだ残っているよく手入れされた段々畑、初めて訪れる山深い集落は、古きよき時代の日本の原風景でもある。崩れ去ろうとしている日本の山村と山河、失われ行く郷愁、滅び行く運命、去り行くものはいとおしい。


 里山の風景が維持されるのも後15年くらいのように思う。近々、団塊の世代が定年を迎えるが、彼らの多くは子供の頃に手伝わされた農業体験があり、農の原風景を頭の中に持っている。耕す土地が近くにあれば、定年後は家庭菜園にいそしむようになるかも知れない。定年後に家庭菜園が楽しめる期間は、平均寿命等から考えても15年ほどである。

 
 団塊の世代の定年から15年後に定年を迎える世代は、農業体験も農の原風景も持ち合わせていない。この間の15年は特に日本が大きく変わった日進月歩の15年である。教えてもらおうにも近所に誰も農業などしていないし、すでに親も亡くなっている可能性が高い。つまり、15年後の田舎に「農の風景」が維持されているかどうかは疑問である。

 
 ボクの集落では、平均年齢70才ほどの男女が家庭菜園に精を出している。田んぼに出てくる顔ぶれは決まっている。毎日出てくる人、3~4日に1度出てくる人、たまに出てくる人などそれぞれである。配偶者が亡くなったり、病気だったりする場合は70才を過ぎた女性でも草刈機を使っている。草刈機は、使い慣れるまでは扱い辛くて、少々危険な農具だと思うが、背に腹は変えられずと言うか、誰もしてくれる人がいないと、それまで全く使ったことがなくても、70才近くなってから使い始める女性が身近に何人もいる。


 自分の田んぼは一番奥まった場所にあるので、田んぼの行き帰りや田んぼからも家庭菜園の人が自然と目に入る。遠くからでも、その人が今どんな農作業をしているかは、姿格好で大体わかる。別に見ようとして見ているわけではなく、ちょっと農作業の手を休めたり、収穫でいったりきたりしている時など、自然に目に飛び込んでくる。自分が農業を始めてからこっち、毎日のように田んぼで見かけていた人がすでに何人も亡くなられたが、新たに田んぼで見かけるようになった人は一人もいない。


 この国から農の風景自体がどんどん少なくなっていくと思う。そのうち田んぼに農業会社の管理棟が並び、その中で、水耕栽培だとか、ニワトリのウインドレス鶏舎に似た無菌室状態の空間で無農薬野菜なるものが作られたりするのかもしれない。確かにそういう建物の中だと、イノシシやシカに襲われる危険性は少なく、2本足の害獣も容易に侵入はできない。農の風景がそんな「密室」の中に閉じ込められる可能性も否定できない。現に45年ほど前の田舎では、どこの家の軒先にも20~30羽ほどのニワトリがいたが、今ニワトリは、刑務所的管理棟(身動きできないケージという檻、トリのアウシュビッツ)に閉じ込められてしまい、一般の人の前から姿を消した。
 
 
 45年前の庭先の土の上に戻りたいと、いくらもがいても戻れないケージのニワトリのように、人間も、本来が土着性なのに、土(農業)から離れないと生きていけない(生活できない)ようなシステムの中にすでに取り込まれている。


 今、岡山県下の7~8割ほどの家庭菜園では、イノシシの防御のために、トタン板や電気柵という檻の中で作られている。そして、防御してまで家庭菜園を続ける事がばかばかしくなっている人も多い。買った方がはるかに安くつくのだから、経済的見地だけなら、もう止めてもよいという気にもなる。
 
 
 山村は今、時代から取り残されたような空間になり、平均年齢が70才を超える高齢化が進み、廃村の危機にある。そんな山村にぽつんぽつんと入植している友人たちを訪ねる。途中、車を止めて谷川のせせらぎを聞きながら、コンビニで買ったおにぎりとあんぱんを食べ、缶コーヒーを飲みながら、しばしたたずむ。



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プロフィール

水田祐助

Author:水田祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在55才、農業歴19年目。農業形態は野菜とハーブのワンパック宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ30羽。25年ほど農業とは無縁だったが、ボクが子供の頃は、家は葉タバコ農家だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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