あめんぼ通信

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
このページのトップへ

ふるさと色川 ⑤


「小さな田舎暮らし」の知恵

昨日は朝から雨だった。30枚の「色川(和歌山県 東牟婁郡 那智勝浦町 大野)リポート」をもって、Nさんの炭焼き小屋兼物置を訪ねた。色川の旅からすでに1ヶ月が過ぎようとしている。色川で出会った人たちのみやげ話を聞いてもらおうと思った。

 色川は、入った年代で、

第1世代・・・25年前~ 耕人舎の村山さん兄弟。食の安全、エコロジー思想。

第2世代・・・20年前~ 耕人舎の研修生が当地で独立。

第3世代・・・10年前~ NさんやOさんが、相次いで入植された時代。

第4世代・・・・5年前~ 町営住宅が整備されて、安価な家賃で住めるようになった。

第5世代・・・・・最近~ 緑の雇用事業等、都市の失業対策の一環としての田舎移住。

 Nさんは色川に入植したことに関して、(1)何か目的があった(2)何か好きだった(3)何か動機があった・・・ということはなく、さしたる展望があったわけではないと言われる。ただ、都会でもんもんとしていた時期に、「その状態からの脱出」が、田舎移住であったらしい。都会には、石ころ一つころがっていなくて、ヘビもいないし、カエルもいないと・・・。

 Nさんは、エコロジーの視点よりも、むしろ、人権の視点が強い人である。多種多様の職業経験と、東京や大阪等の大都会での生活・・・そして、大阪で喫茶店を経営していた時には、いろんな悩み事や人生相談を打ち明けられることが多かったらしい。「人権」にめざめ、それを強く意識するようになったのは、そのころからだったのだろう。人権問題は、「部落」とか「在日(朝鮮人)」として取り上げられることは多いが、会社内いじめ、子供のいじめなど、Nさんの人権意識は多肢である。人数とか、年令とか、山村であるとか都会であるとかの場所にも関係なく、いつでも、どこでも、偏見、差別、いじめが生じる。

 都会の学校で起こり安いと見られる子供のいじめも、3~4人ののどかな山村の小中学校でも容易に起こる。のどかな山村の学校は少人数だから、まさに「選択肢のない状態」に、子供が追い込まれることも多い。このような人権に対して、常に行動を起こしているのがNさんである。

 Nさん家族が、色川集落を後にしたのも、これといった特に大きな理由はないらしい。ただ、このまま年をとって50才を過ぎてしまうと、「出て行きたいと思った時、出て行けなくなる」と考え、まだ今なら動けると思った46才の転出となった。色川に入植して、まる6年が過ぎた春だった。

 現在、Nさんは町営住宅に住み、近くの田んぼを借りて、自給野菜や米、麦、大豆を作り、田んぼの一角に、竹で囲んだ物置小屋を作り、その中に、小さなドラムカン炭焼き窯を据えて、しばしば木炭や竹炭を焼いている。そして、農閑期を中心にして、年に3~4ヶ月ほどは、日稼ぎのアルバイトをしている。野菜や麦や大豆の販路はほとんどなく、米を数軒に売っているくらいで、アルバイト代が収入の大半らしい。本人はアルバイトをせざるをえないことが不本意らしいが、年に数ヶ月アルバイトに出て、残りの8ヶ月ほどを自給自足の農的生活をするのと、ボクのように農閑期の3ヶ月を除くと、年中あくせく働いて、それでもアルバイト収入くらいしかならないのだから、どちらがいいかわからない・・・似たり寄ったりだと話す。
 Nさんは、最初、色川に入った時、農業で生活を立てるというより、農的生活の方に比重を置いた移住だったのだと思う。移住してしばらくすると「森林組合」で働き始めたと聞いた。和気町に移住されてからは、最初は作った野菜の販路を捜して、かなり広範囲に歩かれたようなので、農作物で生活を考えられていたと思うが、1年後くらいには、アルバイトにも行かれ始めたので、どうしても農作物でと言う執着はなかったのだろう。大工の見習いでもできると思えるくらい器用な方だから、その器用さを生かしたアルバイト先が、捜せば、不景気でもいくらかある。客観的に見て、「何でもできる」という能力が、農業1本にしぼることを妨げたと言えるかも知れない。

 自分から見ると、そんなにこだわらなくてもいいのに・・・と思えるくらい、農法とか環境にこだわる人である。

(1)完全無農薬、完全無化学肥料

(2)黒マルチ、ポリ、塩化ビニールなどの、自然に戻らない資材は一切使わない。

(3)鶏糞や牛糞は飼料に問題があるからと言って、使わない。というよりも、肥料を全くやらない(持ち込まない)という自然農法である。

(4)そして、畑も全く耕さない。土手の草やあぜ草などを、土の表面に置いていく「草マルチ」だけというやり方で、もう6年も自給用の野菜を作っている。米にも大豆にも麦にも全く肥料はいれない。収穫後のワラを田んぼに敷き詰めておくというやり方である。

  これはNさんのこだわっている所だから、ボクは、賛同もしないし、批判もしない。ボクの田んぼは、1年不耕起栽培にすると、あぜ岸から、「笹の根」のような強い雑草が田んぼに押し寄せてくるので、耕さないやり方も導入しているが、それは1年が限度である。草マルチは労力的に大変である。ボクは黒マルチを多用している。

 小さな農業、小さな生活という点も、年収もNさんと似ているし、めざしている方向は違っても、世の中の不合理に対して絶えず戦っている姿勢に共感を覚える。一つ違っていることは、Nさんの場合、Nさんの収入だけで、親子4人が生活しているという点である。町営住宅という利点なのか、それとも生活スタイルなのか、Nさんの場合、ライフラインに関する費用がとても少なくてすんでいる。我が家の半分である。そして、一つの集落の中で借家すると、冠婚葬祭や村の出仕事や、役仕事、集会などの付き合いが多く、可能なら、町営住宅のような所に住みたいと捜したと言われる。そして、以前の入植地のような、イノシシの出るような山村はさけて、何かと便利な市街地に近い田舎を捜したらしい。稲作のための農具も「使わなくなったトラクタやコンバインはありませんか。もしあればゆずって下さい。変わりに、あぜ草刈等の労働奉仕を致します・・・」の広告を求人情報誌に出したりして、稲作のためのすべての農具(乗用トラクタ、コンバイン、ハーベスタ、手押しトラクタ、乾燥機、もみ蒔き機等)を無料で手に入れた。今は捨て場に困っている(廃棄処分料がかかりだしたから)時代である。ちょっと頭を働かせば何とかなると言われる。Nさんが言われるには、ある「物」が必要になった場合、

(1)   カネで買う

(2)   交換する

(3)   広告に出す

(4)   人に頼んでおく

(5)   もらう

(6)   ひろう

(7)   自分で作り出す

というような方法があるらしい。(6)の「ひろう」は、気に留めておれば、けっこう有用な物が捨てられているらしい。(7)の「自分で作り出す」も、自分の感覚にはない言葉だった。子供の頃から図画工作が苦手だった。自分の場合は①カネで買う。②カネを払って依頼する。③そういう事態が起こらないように日頃から遠ざかる(避ける)。④先送りする。という4方法を選ぶ。主に③、④を選ぶ。

 Nさんの場合は、「すき間ビジネス」というか、他人のちょっと気付かない、あるいは、不可能と思い気にも留めないことにも、思いつきのよさで、ビジネスチャンスにしている。ボクが遊びに行った7月中旬には、この2ヶ月ほど、あまり収入がないと言っておられたが、それでも豊かな食生活と豊かな時間だけは、いつもNさんのそばにある。

 年、100万を稼ぐことは、何の組織にも属していない自由人には、かなり厳しいが、逆に、100万だけ稼げば、必要経費がまかなえるなら、考えようにによっては、とても楽である。それが、100万でなくて150万なら、ちょっと厳しいと思えるが・・・。

 旅行や外食、車でのドライブ、ファッション、住む家等に関しても、農的生活を望むような人は、出費を控えても、さほど忍耐を伴わないと思います。1ヶ月の平均出費が10万円ではとても収まらないと思えるなら、農的生活(小さな田舎生活)は、ちょっとむずかしいかも知れません。でも、そのハードルが越えれるなら、また違った人生が開けていくかも知れません・・・。国民年金で受け取れる金額もこれより少ないし、生活保護で受け取れる金額もこれより少ない。

 
Nさんが当地で「小さな田舎暮らし」をまわしていくのは大変だと思う。しかし、色川から始まった、小さな田舎暮らしの知恵が少しずつ積み重なって、今の小さな田舎暮らしが維持できているように思う。第2の入植地である岡山県 和気郡 和気町に、ついこないだ引っ越して来られたような気がするが、色川で過ごした歳月と同じくらいの歳月を当地で迎えようとされている。時々、雨の日などに、元気でやっているかなあ・・・と訪ねて、炭焼き小屋のいろり端で、よもやま話をするのが、今の自分の楽しみの一つである。 


ブログランキング1位を目指して挑戦中!!! クリックお願いします!!!
スポンサーサイト
このページのトップへ

コメント

グーグルでヒットしました。

上海から検索して、訪問しています。
鳥と木の枝の図案が雰囲気いいですね。

お時間かかって制作されている様ですが
身体壊さない様に、農作業も家庭も大事に
お過ごし下さい。

  • 2006/12/31(日) 01:53:47 |
  • URL |
  • mari #m70FkpO2
  • [編集]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://terayama.blog57.fc2.com/tb.php/141-0cfdf715
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
このページのトップへ

FC2Ad

プロフィール

水田祐助

Author:水田祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在55才、農業歴19年目。農業形態は野菜とハーブのワンパック宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ30羽。25年ほど農業とは無縁だったが、ボクが子供の頃は、家は葉タバコ農家だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

最近の記事

最近のコメント

月別アーカイブ

カテゴリー

FC2カウンター

QRコード

QRコード

リンク

このブログをリンクに追加する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。