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あめんぼ通信

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

初めてのイノシシ襲撃 ③

 今日はさっそく朝から行動を起こした。昨晩連絡を取っていた和気町の○○さんに、電気柵を借りに行った。太陽光発電のよいのを持たれていたが、支柱とガイシがないので、それをホームセンター等で買えば、今日にでも設置できると言われ、帰りに2軒のホームセンターに立ち寄ったが、どちらにも在庫がなく、「メーカーからの取り寄せ」になると言われた。電話で他の農業資材店にもあたってみたが、あると言われても、どういうのを選択したのがよいか判断がつかなかった。


 他にも何人かの友人に電話したが、貸してもらえるような予備の電気柵は誰も持ち合わせていなかったし、それぞれ器用な人なので、「安く上げる方法」をいろいろ伝授してもらったが、自分には彼らの真似ができるとは思えなかった。とにかく、電柵に関する相手のレベルが高すぎて、聞いていてそのレベルのことがよく理解できなかった。しつこく聞いていると、どこで買ってもそれほど値段の差はないと思うから、懇意にしている農機具店があるなら、そこで買うのがよいかも知れないと言ってくれたので、結局、付き合いのある農機具店で買うことにした。この結論に行き着くまでに今日は、農業仲間の4人、3軒のホームセンター(農業資材店)、1軒の農機具店の計8人(軒)の人を訪問したり、長電話をして手間を取らせてしまった。


 どうしても今日中に何らかの結論を出したかった。急ぎの田んぼ仕事もあったが、イノシシのことを考えると、1日の猶予もできなかった。


 昨日は電柵を借りに行ったり、あちこちに電話をかけたりして、いつもの日常とちょっと変わったことをしたのと、忙しくて昼寝の時間も取れなかったせいか、このブログを書き始めると、睡魔が襲ってきて、風呂も入らずに寝てしまった。ブログはだいたい、夜10時頃から12時頃までの2時間を費やしている。朝は5時10分の目覚まし(出荷の日)で起きるので、昼寝をしないと持たない。


 昨晩はとてもよい雨が降り続いたようだ。強い雨脚の音で夜中に2回ほど目がさめたが、そのたびに、サツマイモは大丈夫だろうかと気になった。というのも、昼間に何回も電話した友人が夜に電話をかけてきて、こんな雨の日にイノシシがよく出ると言うものだから、余計気になった。雨の日をなぜ好むかというと、イノシシは毛についたダニのようなものを水浴び(泥んこ遊び)をして、ころげまわって取るらしい。


 イノシシには、友人たちはすでに何度も痛い目にあってきている。そして、現在も痛い目にあい続けている。それでも農業をやめることはできない、もしくは続けざるを得ないから、電柵にも精通してきたのである。ボクも電柵に関しては、得手不得手はいっておれない。電柵を張ったり、移動したり、電柵を設置している場所での草刈や耕運に、慣れることが必要である。しかし、いらぬ投資ばかり迫られる。次の世代の人が農業をしたくても、職業として農業を選択できない現実が確実にしかも着々と増え続けている。イノシシとの攻防にかなり時間を取られるようになると、本来の農業の技術的な問題以前の問題で、農業の継続が厳しくなる。

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初めてのイノシシ襲撃 ②

 8月末~9月上旬の残暑の頃は、果たして、9月10日頃には秋雨前線がやってきて、9月14頃にはダイコンの種が蒔けるだろうかと心配になる。確かに一昔前なら、この2週間で、季節が音をたてて変わっていると思えるくらい、残暑が崩れ去り、秋の気配へと変わるのを感じた。そして、夏の扉が閉まり、秋の扉が開こうとうとする、ちょうどその境目に、ダイコンとカブの種を蒔いてきた。9月13日、9月14日頃がその扉である。毎年、ダイコンの種を蒔く時、今年も秋が来たんだなと身体で感じることができた。


 しかし最近、その季節の変わり目がおかしくなった。秋の種まきや秋の苗物に必要な秋雨前線の活動が弱くて、肝心の雨をもたらしてくれない。だからといって、種まきの日をあまり遅らせることはできず、時期がきたら、雨はなくても種を蒔く必要がある。その時には、蒔いた後、エンジンポンプで井戸水をたっぷり散水する。


 経験を重ねるうちに、不安定な気候にも臨機応変に対応できるようになったが、その時期にはその時期らしい気候であってくれた方が身体的には随分と楽である。


 今日の夕方、衝撃的光景を目にしてしまった。いや、来るべき日がとうとう来たと言ったほうがいいかも知れない。それは、ボクの田んぼから直線距離で30メートルも離れていない近所の田んぼのサツマイモがイノシシに全て掘りあげられている無残な光景だった。明日は我が身・・・


 数日前のブログで、すぐには対応できないと書いたが、すぐに対応しようと思った。早々と全部掘りあげしまうか・・・いやそれはまだ早すぎる。今掘ったら、本来掘る時期に比べて3分の1ほどの収量にしかならない。それは、あほらしすぎる。


 すぐに、イノシシの被害が常駐している3人に電話で相談した。その内の一人が、今使っていない電柵があるけど、使えると思うから、取りにきたら・・・と言ってくれた。とにかく、明日中にはなんらかの手を一つは打とうと思った。このまま放任しておいては、今までに投下してきた自分の汗が全て無駄になってしまう。


 やられるのが今晩かも知れない。考えていたら気が気でなくなって、さっき10時過ぎに田んぼまで行ってきた。サツマイモ畑を軽四のライトで見たが、道側の方はどうもなかった。真っ暗だし、山際の方へまわってみることはしなかった。


 黒い寒冷紗でも黒いマルチでも、とにかくサツマイモであることが見えなければ、なんらかの効果はあるそうなので、電柵がうまく設置できなければ、黒マルチで応急防御でもしておこう。


 進入した足跡から見ると、進入したのは1頭だけのようだった。しかしその足跡は、握りこぶしよりもっと大きな足跡だった。これは巨大なイノシシだと思った。そうでなければ、あんなに荒らさないだろうと思った。


 ○○さん、まあ食べ量じゃからええが・・・、うちは商品作物じゃから、やられたらショックは大きいと話したが、これは自分の言葉不足だった。たとえ食べ量でも商品作物でも、サツマイモにかけた思いのハードルは同じ高さなのだ・・・。


 自分は3アールほどの面積に約600本の挿し木苗の定植。サツマイモの入らないワンパックなど考えられない。しかも、イタリア料理店から、紫芋の注文がよく入る。やられてからでは遅いのだ。今回はどうしても先手を打たなければ・・・。でも負けてしまうかもしれない・・・。


 今までイノシシは他人事だった。頭の中では被害の現実を想像できても、それが身にせまってこなかった。


 他人が交通事故にあっても身に迫ってこない・・・


 他人が泥棒の被害にあっても、人事・・・


 他人が死に至る病にかかっても、自分には影響ない・・・


ああいつも、友人のイノシシ被害の話を聞いたり、現場を実際に目の当たりにしてきたのに、それはやっぱり「他人事」だったのだ。自分の身に襲いかかって初めて、友人と同じ土俵に立ったのだ。


 イノシシが出るような所では農業などできない・・・。イノシシが出だしたら農業は止めよう・・・と考えていた。自分が現役でいる間は、自分の所だけは、イノシシとは無縁でいたかった。でも今日からの農業はもう、イノシシと無縁ではいられない。


 でも現実には、農業者以外、イノシシがどうあばれようと関係のない世界なのだ。自分もそういう世界にもう一度転身を試みた方がよいのだろうか。でも、もう若くない。時給800円にもならないが、他に雇用の場が閉ざされている以上(年齢制限等)、自分で稼ぎ出さなければならないのだ。そして、現実には、イノシシを防御する手間が加わっただけなのだ。でもその手間とは、自分にとって、全農作業の内、何割の手間として加わっていくのだろうか。


 この腹立たしい気持ちを誰かに伝えたい。それはボクがそうだったように、30代半ばで農業を志そうとする、あなたに伝えたい。

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トウガン

  35度近い高温が続くと、人間でも身体がだる~くなるが、まして、羽毛を身につけているニワトリにとって、この時期の厳しい残暑はもっとこたえているであろう。


 ニワトリの暑さ対策として、朝、夕の2回、冷たい山水に入れ替える。普通は朝1回しか、水を新しいのと入れ替えたりしないが、今の時期は、すぐに水がなまぬるくなるし、よく飲むので、朝と夕に入れ替える。それともう一つ、とっておきの夏バテ対策として、毎日、野菜の「トウガン」を1~2個食べさせている。もちろん、ニワトリのビタミン補給に日々、雑草を与えることは欠かせないが、特にこの時期は、切らさないように、たくさんの青菜(雑草)を与えることが大切だと思っている。でも、こう暑いと、雑草だけではものたりない。もっと水分たっぷりのスイカやキュウリのようなものをあげたい。スイカがあった時は、スイカを食べた後の残りの部分をニワトリにやっていたが、もうスイカは終わった。キュウリをあげるのは惜しい。ナンキンもすでに屑ナンキンは全部トリ小屋行きとなって終わった。ジャガイモの屑はとっくに終わっているし、サツマイモはまだ掘っていないので、屑サツマイモはない。となると、今の時期は「トウガン」しかない。


 トウガンはナンキンよりも水分が多く、みずみずしいので、ニワトリが喜ぶ。大きなトウガンをカマで5~6個に輪切りにして、投げこんでおくと、30分もたたないうちに、トウガンの跡形もなくなる。1個そのまま投げ込んでおいてもよいが、そうなると32羽のニワトリが競争になって、弱いニワトリは食べれなくなるので、全部にいきわたるように、輪切りにする。


 トウガンは1個を200円~400円で売っている商品作物なので、ちょっともったいないが、イタリア料理店はあまり注文をくれないし、個人の顧客に入れるだけだと、7本トウガンを定植すれば、売れ残るくらい成る。6本も定植すれば十分なのだが、6本植えることも9本植えることも植える手間や途中の管理は変わらないし、場所もさほど取られないし、液肥の散布の手間も変わらないので、毎年9本植えている。つまり、トウガンはこの時期(8月下旬~9月上旬の激しい残暑の時期)のエサとしても考えている。30羽ほどしか飼っていないから、こういう考え方もできるが、たくさん買っていれば「野菜の一部をエサとして考えて作付けする」というようなことは、採算や手間の問題から無理ではなかろうか。つまり、自分の場合は、田んぼの面積、野菜の種類、ニワトリの羽数が複合的にからまりあっていて、ちょうどよいバランスの状態にある。どれかが崩れると、うまくいかなくなる。


 トウガンはナンキンほど「ウドンコ病」がこないし、ごろん、ごろん、たくさん成る。あまり大きくなると、宅配のケースに入らなくなるので、ボクは適度なサイズで収穫するが、時に箱に入れるには不適切な大型(収穫の見逃し)もできるので、そんな場合は即、ニワトリ行きである。同じく外観の悪いのも、他の作物なら出荷しても、トウガンはニワトリ行きである。


 トウガンは「冬瓜」と書いて、トウガンと読むが、つまり、真夏に収穫しても、冬まで保存できる、あるいは、冬の料理に適するから「冬瓜」と呼ばれる。実際、ナンキンよりかなり日持ちがする。


 ボクは120サイズ(縦、横、高さの合計が120センチ)の箱で送っているが、夏場のこの時期には、ボリュームのある野菜が少なく、トウガンが箱のかなりのスペースを埋めてくれる。つまり11月以降はハクサイやキャベツがあるし、5月、6月はキャベツやレタスが、10月中下旬にもレタスがあるが、7月、8月、9月は、レタスとキャベツはなく、かさばる野菜が少ない。タマネギ、ジャガイモ、キュウリ、ニガウリ、ナンキン、ナスビ、ピーマン、オクラ、エンサイ、ツルムラサキ、青シソでは、箱の上部に空白ができる。


 7月はキュウリを×2倍、ナスビを×2倍入れたりすることもあるし、9月はサツマイモを×2倍入れたりして対応するが、8月は秋ナスに向けて枝を更新しているのでナスビがない。つまり、トウガンが特に活躍してくれるのが、8月のワンパックである。


 トウガンはソウメンナンキンより作り安いし、料理のレパートリーも広い。ボクは4月1~2日にナンキンの種を蒔くが、それより1ヶ月後の5月5日頃にトウガンの種をまく。つまり、ナンキンは5月の天候不順や梅雨の長雨の影響を受けやすいが、トウガンは、この時期をポット苗の状態、もしくは、定植後まだつる伸びがあまりしない状態で通過するので、ナンキンに被害が出ても、トウガンはまぬlがれることが多い。過湿にはナンキンより弱いような気がするが、台風にはナンキンより強い。


 だから、自分の場合、ナンキンの成りが悪くて個数が取れなくても、後にトウガンがひかえているので、あまりショックを受けない。トウガンはナンキンより病気に強いので作りやすい。梅雨明け後の7月末~8月上旬頃から成り始めるので、雨の少ない8月に、水をしっかり散水するとたくさん成る。


 トウガンはニワトリがバテバテになる8月の夏バテ対策として、有効に活用している。もちろん8月のワンパックの必須野菜でもある。

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初めてのイノシシ襲撃 ①

 昨日、集落の「祷組」の田んぼの草刈に出たら、近所のおばさんから、「○○さんのサツマイモがイノシシにやられたらしい・・・」と聞かされた。


 それを聞いてからショックを受け、草刈が終わった後さっそく田んぼに行き、サツマイモ畑を確認したが、被害はなかった。でも、しばらくはそのことが気にかかり、ちょっと仕事をする気がしなかった。


 まだイノシシに野菜を荒らされたことは1度もないが、今年の春に初めて、竹の子をイノシシにやられたことを認めざるを得ない現実に直面していた。だから、早晩、田んぼにも出てくるかもしれないという潜在的恐怖感をずっと感じていた。


 いままでに友人たちから聞いた話や農業雑誌などの記事を思い出しながら、自分の田んぼで被害にあうとしたら、どんな作物だろうかと、何回も何回もシミュレーションをして見た。直接に被害を受けるとしたら、サツマイモとジャガイモとニンジンとナンキンの4種類だけである。ハーブ類は食べないし、葉物野菜も食べない。キュウリ、ナスビ、ピーマン、オクラの4種類の果菜類も食べない。山芋は作っていない。ヤーコンに関しては好むかどうかはっきりしない。はっきり被害を受ける可能性があると認識したのは、上記の4種類である。このうち、ジャガイモとニンジンは春夏作と秋冬作の2期作であるが、秋冬作のジャガイモは少量しか作付けしないし、春夏作のニンジンも少量しか作付けしない。だからこれらは考慮にいれなくてもすむ。


 つまり、サツマイモ、ナンキン、春夏作のジャガイモ、秋冬作のニンジンの4種類を防御する必要がある。この4種類の内、面積が一番広いのはサツマイモである。挿し木苗を約600本、3アールあまりの田んぼに植えている。ナンキンは2アールほど(24本定植)、春夏作のジャガイモ2アール足らず(種芋16キロ使用)、秋冬作のニンジン2分の1アール(種を1デシリットル使用)の面積である。


 そして、この4種類は、作付けの順番がちょうどうまい具合になっている。つまり、春夏作のジャガイモ(梅雨入りの関係で早生品種しか作らない)の一括収穫は6月12日頃であり、その時期にはまだナンキンが生育途上だから、防御柵をジャガイモからナンキンにまわす。ナンキンの収穫が終わるのは7月下旬頃だから、ナンキンの防御柵をすぐにサツマイモにまわす。7月下旬頃はまだサツマイモは細くて小さい。9月に入ったらサツマイモを掘り始めるが、サツマイモの収穫が終わるのは10月下旬頃で、その頃からニンジンが収穫期に入るので、すぐにその防御柵をニンジンにまわす。


 収穫期に入る前に田んぼを荒らされたら仕方がないが、動物が荒らすのは、たいてい収穫期に入ってからである。この順番通りにいけば、最も面積の広いサツマイモの広さの防御柵を購入すれば、残りの3作物の防御もできる。


  防御するといっても、四面を囲めば、3アールちょっと(長さ35メートル、幅9メートルほど)で、90メートル近くになり、これをトタン板で囲うのはとても面倒である。一応、電気柵のようなものを考えているが、これで本当に防げるのだろうか。電気柵はどれくらいの価格なのか、友人の何人かに聞いてみる必要がある。まだ農業を少なくとも10年は続けるつもりなので、防御の出費は避けられないかもしれないが、10万円以上の出費ならこたえる。だいたいボクは過去に農業への設備投資をほとんどしてきていない。


スタート年に軽四・・・62万


スタートの翌年に物置とトリ小屋・・・43万


9年目の秋に井戸・・・27万


後のものは、管理機、草刈機、エンジンポンプとホースの3つがあるが、どれも10万以下。乗用トラクタは父が買っていた。


 ほとんど投資してきていないと言っても、何も農業のことを知らない人から見ると、かなり投資しているのではないかと思われるかもしれない。でも、農業には最低限これくらいは必要である。


 岡山県南に位置し、国道2号線の南3キロに位置する当地では、まだイノシシの密度はそんなに高くはない。たぶん、はぐれイノシシが数頭、荒らしているだけだろう。でも、実際に被害を受けたら、場所を覚えてしまうので、時々、もしくはシーズンごとに狙われるだろう。設備造作などの設置は特に苦手な作業だが、せざるをえないだろう。でも、今年はもう無理である。泥縄式にはいかない。実際に今年被害を受けたら、いろんな人の話を聞いて、来年以降どうするか決めよう。なんでもだけど半年~1年の準備期間は必要である。すぐにすぐ対応などできない。


 夏に35度を超える日々が続いたり、台風の襲来の頻度が多くなったりと、最近の天候は年々「過激」になっている。加えてイノシシやシカという巨大害獣の被害も年々、身近に迫ってきている。なんか、追い詰められているような気がする。農業本体よりも、天候や害獣という自然界のものに、いらぬ手間ばかり取られていくような気がする。                         

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井戸水をポンプアップ

  今の時期は午後4時頃から田んぼに出る。ニワトリの飲み水を入れ替えたり、液肥タンクを竹の棒で混ぜたり、ちょっと草取りなどをしていると、すぐに5時が来る。5時がまわったら、井戸水をエンジンポンプで散水することにしている。7時がまわると薄暗くなるので、7時頃までの2時間が水遣り時間である。

 
毎日水遣りをした方がよいが、他の農作業の関係で、毎日というわけにもいかない。水遣り作物は、

 
野菜類は、キュウリ ナスビ ピーマン オクラ ニガウリ エンサイ ツルムラサキ 青シソ サトイモの9種類である。サツマイモにも水を与えた方がよいが、サツマイモは日照りに強いし、水をサツマイモにまわす余裕はない。

 
ハーブ類は、レモンバーム レモンバーベナ レモングラス タイム類 ミント類 セイジ イタリアンパセリ スイートバジルの8種類である。ローズマリーは日照りに強いので水はやらない。

 
野菜が5畝(5アール)、ハーブが3畝(3アール)、合わせて8畝(8アール)ほどが、水遣りができる面積の限度である。

(1)毎日あるいは1日おきに、半分(4アール)ほどずつ、水遣りをしている。

(2)5時過ぎから7時頃までの2時間水遣りをすると言っても、途中でガソリンを補給したり、エンジンを止めて散水ホースを移動したりする時間もあるので、正味の水遣り時間は1時間半ほどである。

(3)2時間足らずで井戸水はからっぽになる。

 
上記のように、井戸水の量、水遣りにまわせる時間等の観点から、水遣りの必要な野菜とハーブは合計で8アールほどしか作付けできない。だからその8アールほどで収まる範囲内で作付け本数を考える。それぞれの野菜とハーブの作付け本数(作付け面積)を暗記しておくことは、盛夏の水遣り可能面積を把握する意味からも大切な暗記事項である。


 農業をスタートした頃には、野菜に、こんなに水が必要だとは、想像もできなかった。16年前には今ほど、夏の高温が過激ではなかったし、「夕立」という恩恵が幾日もあったように思う。現に、エンジンポンプを買ったのは、就農4年目の夏だった。だからスタートした3年間は夕立の水だけで、夏に水遣りをしていなかった。最近は夏の気温があまりに高い。


 これから農業をスタートする人は、水をどこから確保するか、考えていた方がよい。川の水をポンプアップするとか、池の水を使わせてもらうとか(稲の水が優先されるので、野菜だと、池の水が使わせてもらえない場合もある)である。田んぼや畑のそばには、たいてい、小さな水路のようなものがあるが、その水路には、稲に水が必要な6月中旬~9月中下旬の3ヶ月間ほどしか、水が走っていないこともある。農業をスタートする時には、水のことまで頭がまわらない(気づかない)が、水は大事なチェック項目である。面積が小さい家庭菜園でも、タゴで川から水を汲んでくるというのは重労働である。最近は、家庭菜園の人でもたいていエンジンポンプで水路の水を散水している。ボクはいろんないきさつから、9年目に入った9月に、田んぼに井戸を掘った。4箇所の候補地を土建業者にためし掘りしてもらって、そのうち1箇所から、地下2メートルの所から地下水?のようなものが出ているのが見つかった。ここに井戸を掘れば、かなりの水が確保できると言われた。27万円かかった。でも、この井戸のおかげで、現在の農業を維持できている。8年目から9年目は、自分の農業に大きな展開があった時期である。

(1)師であるKさんとの出会い・・・多くの農業指導を受けた。

(2)初めて、ハーブのレモンバームを植えた。

(3)ドラム缶炭焼きのイベントに1泊2日で出かけた・・・現在は炭焼きからは撤退した。苦手作業が多々出てくるため。

(4)9年目に入った時、百姓塾を立ち上げた。

(5)水問題でもめた苦しい時期だった。井戸の完成に「未来」を感じた。


           

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液肥作り ②

 液肥は作るのは簡単だが、施す時が重労働である。でも、有機質肥料は一般に、作る時も施す時も両方とも重労働である。つまり液肥なら、労力は半分ですむ。


 市販の鶏糞を買って施す場合でも、化学肥料を施すことに比べたら、かなり重労働である。それに、市販の鶏糞は、何十万羽単位のケージ飼いのニワトリの鶏糞だろうから、大量の消毒剤や殺虫剤や抗菌剤が含まれている可能性が高い。化学肥料より危険ではなかろうか。ボクも市販の鶏糞を使っていた時代もあるが、何か不気味に感じて1年ほどで使うことをやめた。


 現在の液肥の原料に使っている「ぬか」は地元のヌカである。ヌカの肥料成分は主にリン酸肥料だが、窒素分も含まれている。しかし、ヌカだけの窒素分では、窒素肥料が足らない。そのために、ナタネカスも投入している。ナタネカスはたいてい輸入物であり、遺伝子組替え作物の可能性もあるが、ナタネカスの他に自分は窒素肥料を知らない。自分のトリ小屋の鶏糞を入れてもよいが、この鶏糞はすでに鶏糞というよりも、雑草等の大量の有機質素材に付着している状態であり、鶏糞だけを取り出すことはとても不便である。加えて、ボクのニワトリは「菜食主義」で育てているので、たぶん、施しても、窒素肥料効果は少ない。鶏糞の肥料効果が高いのは、魚粉とかトウモロコシくず、ダイズかす等の濃厚飼料をたくさん与えるためであり、購入エサを極力少なくしているボクのニワトリの糞は窒素分は少ないと思う。


 液肥は半分使ったら、残りの半分は種菌として残して次を仕込んだ方が、次の出来上がりが早いと書いたが、ボクの場合、半分使う前に、少し使っただけでも、適当な量のヌカとナタネカスと水を補充して、常時、液肥タンクがいっぱいであるようにしている。液肥タンクは1日1回は、竹の棒で混ぜる(これが、自分の場合はなぜか楽しみになっている)が、混ぜた時の感覚で、ヌカの量が多くて混ぜにくいとか、逆に、水の方が多くて薄すぎるとかの「勘」がつかめてくる。その時は、水を増やしたり、逆にヌカを投入したりする。ヌカとナタネカスの比率は、重量換算で4対1くらいの割合を目安に考えたらよいと思う。ボクの場合はナタネカスを少なくして5対1、もしくは6対1くらいにしているが、できた野菜の結果や途中経過を見て、あれ、これは窒素分が足らなかったなあ・・・というのが、目に見えてわかることがある。そんな時には、ナタネカスだけを液肥タンクに補充する。


 サツマイモのように、窒素肥料が多いと「つるぼけ」するような作物にはナタネカスを途中から入れない液肥を作っておく。500リットル入りの液肥タンクは2つあるので、使い分けている。それとは別に小さな50リットルタンクも8つ用意している。この50リットルタンクは近くの食糧品会社から、ただでもらっているが、中国から輸入されるマッシュルームのような食糧原料が入っていたものらしい。たくさんもらうと産業廃棄物になるので、8つもあれば、自分の場合は十分である。500リットルタンクで仕込みが完了した液肥をすぐに使用する作物が無い場合に、50リットルタンクに入れ替えて保存する場合もあるが、50リットルタンクの方は主に、窒素分多目の液肥を作っておき、作物の途中経過を見ながら、窒素分が少ないと感じた時に追肥する場合に利用している。


 液肥は1回の散布で「8荷」までしか担がない。30リットル入りのタゴに天秤棒を渡して、肩に担ぐ。ボクの場合は、前後に20リットルずつ合わせて40リットル(これが1荷)くらいしか担げない。団塊の世代の方なら、故郷の田舎で「下肥(液肥)担ぎ」しているのを、子供の頃に見られていたのではないでしょうか。今は田舎でも「下肥担ぎ」など全く見ることがなくなった。


 液肥を施したら、井戸水をポンプアップして、約10倍に薄めるか雨を待つ。急いで黒マルチをする場合などは、雨を待てないので、朝ポンプアップしたら夕方に、夕方ポンプアップしたら翌朝に黒マルチをする。液肥は雨で流亡しやすいので、黒マルチと液肥はセットみたいな使い方をしている。黒マルチは農業現場から出る大量の「産業廃棄物」であるが、これほど便利な資材もない。


 液肥を元肥ではなく追肥として施す場合には、施した後すぐに、水で10倍ほどに薄める。液肥は濃いので、薄めなかったら、作物には強すぎて枯れ死する。ためしに、あぜ際の雑草に施して、翌朝どうなっているか確認してみるとよい。たいてい枯れ死している。


 液肥の種菌は1度もらってくれば、何回ももらう必要はない。後は何年でも、ヌカとナタネカスを補充していくだけでよい。

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液肥作り ①

 昨日、液肥を作った。ボクが使う肥料の90%は、500リットル容器2つで作る「メタン菌液肥」である。人間の「へ」のことをメタンガスとも言うが、つまり、動物糞(人糞を含む)の中で活躍するのが「メタン菌」である。


 今から50年ほど前には、人糞や動物糞からでるメタンガスを、細いチューブのようなものを利用して集め、ガスを代用していた農家もあるらしい。しかし、すぐにプロパンガスに押されて、ほとんど使われなくなったらしい。


 今また、自然エネルギーが見直される時代になり、一部の先進的な有機農業家が、「メタンガス発生装置」なるものを手作りして、プロパンガスの代わりにメタンガスを台所の火の元に活用しているらしい。そして、その「廃液」を野菜や米の肥料に利用している。


 その「廃液」を200リットルほど、先進農家からもらってきて、それを「種菌」として液肥を増やす。先進農家を知らなくても、各県の畜産試験場等では、たいていメタンガスの試験やそれを利用した肥料作りなどをしているはずだから、試験場でもらってもよい。


 もらってきた「廃液」を500リットル容器(ホームセンター等で1万三千円ほどで売っている黄色の容器)2つにそれぞれ100リットルずつ入れる。その中に、米ヌカ4袋(15キロ入り)とナタネカス1袋(20キロ入り)をそれぞれの容器に入れ、その後、容器がいっぱいになるまで水を投入して、よくかき混ぜると、メタン菌液肥の仕込みが完了である。


 夏場なら10日ほどで仕込みが完了するが、冬場なら3ヶ月ほどかかる。メタン菌は水温が35度の時、最も活動をするらしい。


 ボクは3反(30アール)ほどの作付けであるが、500リットル容器2つで、どうにかまにあっている。半分(250リットル)使ったら、残りの半分は種菌として残して、すぐにまた仕込む。半分を種菌として残すと、次の出来上がり(仕込み完了)が早い。


 ヌカは農機具店などが置いている「コイン精米機」のヌカを無料でもらっている。ナタネカスだけ買っている。だから、肥料にかかる費用はナタネカス代だけである。年間で6~7袋使うだけだから、3~4千円で足りる。


 肥料にはカネを使わない。そして、肥料は自分で作ることが、安全性の見地からも特に大切ではなかろうか。この16年間、自分も肥料に関しては幾度となく変遷を重ねてきた。


(1)農業をスタートした頃は、近所で牛糞をもらって、くそまじめに「堆肥作り」なるものを続けていた。重労働だったので、3年くらいしか続かなかった。


(2)その後は、市販の鶏糞を買うようになった。


(3)その後、地域の酪農家から、2トン車いっぱいが6千円ほどの価格で、できあがった牛糞堆肥をもってきてもらうようになった。


(4)その後、ニワトリをたくさん飼っている友人に、鶏糞をもらいにいくようになった。


(5)その後、農業の師であるKさんと出会い「メタンガス発生装置」から出る廃液を肥料として利用することを学んだ。Kさんが言われるには、50年ほど前に、家で購入していた「家の光」に出ていたので、どういうものか理屈はわかっていたので、それを思い出しながら独力で作ったと言われる。


 メタン菌液肥に出会えてから、身体が随分と楽になった。そして、以前よりずっと農業が楽しくなった。そして、以前より格段に安全性がレベルアップしたと思った。そして、野菜の味も向上した。


 液肥とは、味噌作りや梅干作りやラッキョ酢作りと同じで、仕込んだら、後は寝て待つ。「果報は寝て待て」である。もう幾つ寝ると液肥が完成・・・♪。


 自分にとって液肥とは、まさに農業が変わったと思える革命的なできごとだったが、ボクの最もよい方法が、あなたにとっても最もよい方法であるとは言えない。その理由は、


(1)ニワトリをたくさん飼っていて、鶏糞がいくらでもあるなら、わざわざ液肥を作る必要もない。


(2)近くに、いつでも利用できる水がなければ、実際問題として液肥作りはできない。


(3)ヌカがいつでも無料で、もしくは、ごく安価に手に入る状況が望ましい。


(4)液肥は作る時は簡単だが、施す時にはタゴで担いで施すので、これがかなり重労働。楽しく担げるかそれとも負担と感じるかは、人それぞれである。最初は負担でも後で楽しくなることもあるし、その逆の場合もある。


(5)液肥は施した時「とても臭いにおい(人糞のような臭い)がする」ので、田んぼのそばに家があるような場所では使えない。ボクの場合、最も近い人家から直線距離で300メートルは離れているので、そこまでは臭わない。


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農作業時間

  残暑がきびしい。だから、早朝7時~10時半頃までの3時間半と、午後4時ごろから7時頃までの3時間が農作業時間である。でもこれでは、1日、6時間半しか農作業時間が取れない。週に3日間しか農作業時間が取れない(残りの3日間は収穫、出荷作業)ので、1日に8時間はどうしても農作業時間を捻出したい。午後3時ではまだ暑すぎて田んぼに出れないので、朝をもう1時間半早く、5時半頃から農作業をスタートすればよいのだが、出荷の朝(月、水、金)は起きれても、他の日はどうしても早くは起きれない。「夜型」の自分にとって、早起きは16年(農業歴)過ぎた今でも苦手である。


 それなら6時間半を、もっと密度の濃い農作業時間にして、仕事をはかどらせる必要がある。


 10時半~4時は農作業ができないから、「家の中でごろごろ」というわけではない。多くの現役農業者はたいてい、家の中でも田んぼでも「分刻み」で動いているのが実情である。のんびり構えていたら、独立個人事業(農業)の世界からすぐに淘汰されてしまう。はたから見てのんびりしているように見えるとしたら、それは定年帰農者だろう。現役農業者に「牧歌的」などという言葉はない。それは、クワを持つ手を休めて背伸びした時に、つかの間感じるだけであり、まるで、田んぼを横切る風のごとく、すぐに通り過ぎてしまう。


 家の中にいるときは家の中でできる仕事をする。ごそごそ用が結構ある。ボクの場合は、今は、農業ブログを書いたり、他人のブログを読んだりしている。それも農作業の一環だと考えている。田んぼに出て農作業をしている時間だけが農業時間ではない。もちろん、この16年間、夜の時間帯はゆっくりテレビを見るなどということはなく、何らかの自己啓発(農業雑誌に目を通したり、毎月1回、野菜のワンパックに添えて送るあめんぼ通信の下書きをしたり・・・)を続けてきた。


 そんな涙ぐましい?、努力をしてきたにもかかわらず、自分の農業収入は、まさに、手取り年収100万の攻防であり、100万円というのは、まさに自分の中での「壁」だった。なぜ自分の農業収入はこれくらいにしかならなかったのか、なぜそこから脱出して、他の農業形態に転身できなかったのか、その能力がなかったのか・・・、それは逐次、今後のブログで詳述する予定である。


 それでも我が家の生活はまわっていった。それは配偶者の「まるみさん」が奥様ではなく外様として、定職を持って働いていたので、その収入があったから、我が家の生活はまわっていった。この他に、今後このブログでたまに登場するかも知れないのが、長女の「かくみさん」次女の「ぺけみさん}。家族構成は現在の所4人である。3人とも仮名で登場してもらう。


 現在、かくみさんもぺけみさんも、それぞれ学校生活を終え、働くようになった。だから、自分はますます、自分の身の回りのことだけをすればよくなった。ずっと以前から実はそうしてきたが・・。


 ボクの収入では、ライフラインの支出が自分の普通預金口座から「自動落ち」になるのを「追っかける」ことと、出荷の帰り道に、近くのスーパーで、アゲ、トーフ、食パン、ティッシュ、トイレットペーパー等の日用品を買うことと、集落内や親戚の「冠婚葬祭費」の支出、それだけしかできなかった。実際問題として、それだけで、自分の手取り収入など「ふっとんで」しまう。


 農業関連以外の自分に関する個人的費用は「散髪代」くらいだった。まさに「農業ざんまいな日々」と言えば、聞こえはよいが、「事」を起こそうにも先立つものがなかった。


 まあそれでも、そんなに「精神がひからびることもなく」日常がおくれたのは、まるみさんの金銭的内助の功が大きかったからだろう。


 でも決して自分が「のほほんとして」過ごしてきたのではない。現在でも農業という職業がキープできているのは、前述のように分刻みで自分の中のあらゆるものを「農業に昇華」してきたからである。精神分析学で言う「昇華」がなんとかうまくいったから、もしくは、雑念や煩悩をうまく農業に「逃避(転化)」させることができたから、自分の精神の均衡が保てれたと考えることもできる。


 現役世代の人が職業の選択肢の一つとして、農業に転身を考えるとしたら、それは、現在の社会の状況下では、ほんとうに厳しいと思う。どこがどう甘くないのか、このブログで、農業の「疑似体験」が提供できればと思う。

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農業に必要な多種の能力

 一口に野菜作りと言っても、いろんな能力を要求される。


(1)野菜を作りあげるまでの能力。


(2)作った野菜を収穫して、仕分けして、箱詰めするという一連の出荷作業。


(3)野菜の納品書、送り先の住所を書いた宅急便の送り状、振込用紙に口座番号等を記入、今月の野菜や今月の発送日、ちょっとした野菜の画像や食べ方、野菜状況等をかいたミニコミを同封したりする一連の事務作業


(4)得意先(ボクの場合は顧客の8割ほどがイタリア料理店)を見つける能力。


 いうなれば、(1)は技術力、(2)は「手早」で「ちょっと細かい作業」、(3)は事務能力、(4)は営業力・・・どれもこれもそつなくこなすという人はそんなにいないと思う。(4)の場合、すぐに得意先を獲得する営業力と、その得意先に続けて買ってもらう営業力はまた異なる。

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収穫風景 ②

 昨日、出荷の日は15種類ほどを収穫すると書いたが、15種類とは、野菜とハーブを合わせた種類である。


 野菜は(1)キュウリ (2)ナスビ (3)ピーマン (4)オクラ (5)ニガウリ (6)エンサイ (7)ツルムラサキ (8)青シソ


 ハーブは(1)レモンバーム (2)レモンバーベナ (3)レモングラス (4)タイム類 (5)ミント類 (6)セイジ (7)ローズマリー (8)イタリアンパセリ (9)スイートバジル


 ハーブのことをよく知らない人は、どういう格好をした作物かちょっと想像できないと思いますが、ハーブは、ニラや青シソ、ニンニク、ミョウガのような風味(香味)野菜と覚えておいて下さい。違うのは和風料理で使うか、イタリア料理やフランス料理で使うかの違いであり、イタリア料理店やフランス料理店で主に使う風味(香味)野菜を一般にハーブと呼んでいます。和風ハーブは主に日本原産であり、欧風ハーブは主に地中海沿岸地域が原産です。


 ハーブはたくさん使うものではなく、料理のアクセントや引き立て役、風味付けに用いられます。種類は100種類を軽く超えて200種類以上もあるようですが、上記9種類にプラス(1)ロケット(2)ディル (3)チャービルを合わせた12種類をマスターしておけば、ハーブの90%をカバーしたも同然です。今後、逐次説明しますので、今は、ハーブは12種類だけマスターすればいいんだと丸暗記して下さい。野菜に比べて病気や害虫が少ない「葉野菜」です。


 野菜は8種類と書きましたが、7月25日~8月いっぱいの約35日間は、ナスビの枝を更新(強く切り戻す)にかけていて、実際はナスビの収穫はないので、正確には7種類です。ハーブは注文制であり、注文があった場合だけ収穫します。平均して7~8種類は収穫します。だから、野菜とハーブを合わせて15種類になります。


 15種類を、遅くとも8時15分頃までに収穫してしまわなければならないので、出荷の日の朝はとても忙しいです。野菜は収穫の適期がきていれば、その日の出荷軒数の多い少ないにかかわらず、すべて収穫しておかないと、作物体に負担がかかってしまうので、原則、すべて収穫します。だから、植える時に「何本定植するか」がボクの場合はとても重要な暗記事項になってきます。自分の農業形態ではこれは特に大切な暗記事項です。キュウリ(キュウリだけは4回蒔くが、1回につき12本~13本)、ナスビ44本、ピーマン22本、オクラ100穴(1箇所3~4本立てだから、約350本)、ニガウリ6~7本、エンサイ80株 ツルムラサキ66株(1箇所2本立てだから132本)、青シソ24本。


 上記のような本数だと、キュウリやニガウリは収穫に5分とかからない。ナスビやピーマンは5~8分かかる。青シソも5分とかからない。オクラとエンサイとツルムラサキの3種類は10~15分かかる。平均すると1種類が10分くらいである。これ以上収穫に時間がかかると、ハーブの収穫にしわ寄せがくる。


 ハーブはスイートバジルの収穫に30~50分(その日の注文数によって、かなり収穫時間数が変動する)。ミント類(スペアミントとブラックミント)の収穫はちょっと時間がかかって10~15分。だから他のハーブは収穫に5分もかけれない。


 農作業のうち何が一番えらい(しんどい)かというと、まさにこの収穫作業が最もハードな農作業と言える。他の農作業は「マイペース」でできても、出荷の朝の収穫作業はマイペースではできない。時間との戦いである。これが肉体的にきつい。しかも、夏場は早朝5時10分には起きなければ、お天道様が照りつける。でもボクの田んぼは山のねきにあるので、山がじゃまをして、朝陽のあたる時間が比較的遅い。これが平野部だったら、午前4時代に起きなければ、野菜やハーブがすぐにしおれてしまうのではなかろうか。


 出荷の日は他に農作業をする時間が取れない。夕方にエンジンポンプで井戸水(田んぼに井戸を掘っている)を散水するくらいである。夏場以外は収穫のスタート時間が少し遅いので、もちろん他の農作業はできない。収穫は月、水、金だから、週の内、農作業のできる日数は残りの4日間しかない。もちろん農休日など取る時間的余裕は5月~12月の8ヶ月間はない。週4日間は農作業ができるといっても、雨の日や強い雨の翌日とか、集落の出仕事や集落の葬儀や急な用事等が入ると農作業ができない。だから、正味、週の農作業日数は「3日間」と言える。なんと、週に3日間しか農作業の時間がとれない。


 やはりワンパック宅配という農業形態自体に欠陥があると言えるかもしれない。ワンパック宅配形態では農作業のほぼ半分が収穫出荷作業にとられてしまう。他の農業形態では、こうも収穫出荷に時間がとられていないように思う。

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収穫風景 ①

 出荷の日の朝は5時10分の目覚ましで起きる。台所の椅子で5~10分ほど、ぼ~っとしてから、野良着に着替え、門先の簡易水道(山の湧き水)で、13リットル入りの水入れの容器をいっぱいにし、飲み水をペットボトルに入れ、収穫用のコンテナを22ケースほど軽四に積み、いざ田んぼに出発。田んぼは家から500メートルほど行った山すそにある。


 日照りが続いていても、朝はしっかり「朝つゆ」が降りているので、地下足袋だと、すぐに、水につかったようになるので、収穫をスタートする前に、地下足袋から長靴に履き替える。収穫のスタートはたいてい5時45分頃からである。


 15種類ほどをいつも収穫する。1種類の収穫に10分かかったとしても、15種類×10分=150分=2時間半もかかる。だから小用もがまんして、小走りになる。残暑厳しい8月中下旬には、遅くても8時10分くらいまでに、すべての収穫を終わらせたい。つまり、まだ「朝つゆが降りている間」に収穫を終わらせたい。太陽があたりはじめてから20~30分経過すれば、この時期の朝つゆなどすぐに蒸発してしまう。なぜ朝つゆが降りている間に収穫した方がよいかというと、野菜がしゃんとしているからである。朝つゆが蒸発してから収穫すると、野菜がすぐに「しな~」となる。収穫後の日持ちも、朝8時頃までの収穫物は鮮度が長持ちする。ボクの場合はほとんどが、神戸、大阪、京都へのワンパック宅配なので、鮮度が命である。地元の顧客なら、当日の朝どり野菜を当日に配達できるが、宅急便利用なので、いくら早くても、顧客の手元に届くのは、収穫後26~28時間後の翌日の10時~12時である。加えてボクは「クール宅急便」を利用していない。だからなおのこと、朝8時頃までに収穫を終えるというのが、前提条件である。顧客がダンボールの箱のガムテープをはがして、野菜を取り出した時、鮮度が悪かったら、話にならないからである。そんな状態であれば、継続してワンパックを購入してはくれない。ボクの場合は、クール宅急便を使わなくても、かなり鮮度のよい状態で届いているのだと思う。鮮度に対する「ぎりぎりの格闘」を絶えず続けているから、ワンパック宅配が継続できているのだと思う。その方法は、


(1)まだ朝つゆの降りている間に収穫を終わらせる。つまり朝8時頃までに終わらせる。


(2)1種類収穫すると(あるいはコンテナがいっぱいになると)、すぐに竹やぶのそばの日陰におき、ジョロでさっと「打ち水」をしておく。


(3)収穫後、風にあたると傷みやすいので、風の強い日は、収穫物の置き場所を変える。


(4)すべての収穫が終わったら、すぐに仕分け(種類ごとに最小の1単位に小分けする)をして、すばやく新聞紙で包む。つまり、収穫物が長く外気にあたらないように、新聞紙に包み込む(軽い真空状態)。収穫物には朝つゆの他に、ジョロでさっと打ち水もしているから、新聞紙も適度に湿り、よい状態が保たれる。もちろん新聞紙は新品(無料)。新聞店で定期的にもらっている。読んだ後の新聞紙を使うのではなく、新品を使うのは顧客に対する礼儀とともに、野菜に対する愛情でもある。


(5)仕分けに時間をかけない。つまり、手でいじくりまわさない。大げさに言えば手汗がつく。収穫から最後の箱詰めまで、できるだけ自分の手に触れる時間を短くする。1単位の目方は多少多かったり少なかったりでもかまわない。その分ボクは「2~3品」の「おまけ」を入れる。「おまけ」は送料負担(800円負担してもらっている)の軽減の意味もある。


(6)収穫物の仕分けは軽四の上に秤をおいてするが、軽四は竹やぶのねきの日陰に置いているので、仕分け中に野菜が太陽の光にあたることはない。


(7)収穫、仕分けが終わると家に帰るが、軽四の車庫はトタン屋根なので、8月のこの時期は、トタンの熱が大きい。その熱を防ぐために、仕分けした各収穫物のコンテナ容器の上に「ムシロ」をかぶせて、トタン屋根の熱を防ぐ。


(8)家に帰ってから、朝食、昼寝、納品書、送り状、振込用紙を記入、ミニコミ(あめんぼ通信)も入れる。午後2時~2時半頃から最後の箱詰め作業を、軽四を出した車庫でする。箱詰め作業の注意点は、納品書と現物の「不一致」をしないことと、箱が「ぐすぐすの状態」にしないこと。箱がぐすぐすだと、箱の中で野菜がころげまわってしまう。


(9)箱のぐすぐすを防ぐために、自分の場合は100サイズと120サイズの2種類の箱を用意している。それでも野菜内容によってはぐすぐすになる。ボクは送料負担の軽減の意味から2~3品のおまけを入れているが、「かさばるおまけ」と「かさばらないおまけ」を臨機応変に組み込んで、ぐすぐすをなくしている。これは2年もワンパックをしていれば、誰でも自然にできるようになります。


(10)箱詰め完了の時が、出荷が完了ではなく、あくまで、顧客の手元に届いた時が出荷の完了です。箱詰めが完了すると、すぐに宅急便の営業所へ持参する。営業所はクーラーが効いているので、できるだけ涼しい場所へ置きたい。そして宅配ケースは、宅急便の深夜便で京阪神へ送ってもらうようにすると、ほんの少しかもしれないが、温度が低く保てれると思う。


(11)ボクのワンパックの多くは、イタリア料理店に送る葉物(ハーブ)が中心だが、葉物でも、上記の点に配慮すれば、クール宅急便を使う必要はない。


(12)何もボクが特別なわけではなく、2~3年のうちに、誰でも要領が自然とわかってくる。逆にボクは、とっても不器用で、何年経過しても野菜作りが下手。インゲンやキュウリの支柱が立てれない。草刈機の刃がいまだにとげない。トマトはワンパックに入れたことがない。乗用トラクタやエンジンポンプのオイル交換が自分で未だにできない。超不細工。でも、個人客やイタリア料理店の顧客が、結構、長続きしてくれる。

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秋冬作のスタート

 照りつけるような炎天が続いても、お盆が過ぎれば、秋冬作の種まきをスタートする必要がある。今年も8月15日に、キャベツとブロッコリーの種を育苗ポットに蒔いた。これらは1ヶ月ほど育苗して、9月15日頃に田んぼに定植するのであるが、ニンジンやインゲンは、直に田んぼに蒔く。


 ニンジンやインゲンの種を蒔く準備をするために、2~3回は田んぼを耕運しておきたいが、梅雨明け後は全く雨が降らず、土が乾きすぎていて、耕運には適さない。一雨きてから、もう一度乗用トラクタで耕運して、整地、畝立をしようと思い、ひたすら雨を待っていた。例年この時期の雨は夕立か台風しかもたらしてくれない。今年の雨は台風がもたらしたものだった。強い風は余算だが、雨はとてもありがたい。18日の夕方から19日の早朝にかけて降った雨は、たいした雨量ではなかったが、かといって、少なすぎるほどでもなかった。19日の午後に耕運し、翌20日の午後から、整地、畝立てをして、ニンジンの種を蒔いた。1メートルほどの畝幅に2条蒔きで、15メートルの長さを3列蒔く。1デシリットルの種を買えば足りる。種代は1400円ほどである。


 ニンジンは種を蒔いた後、土をかけない(かぶせない)。光好性種子だから、光を感じないと発芽が悪くなる。だから、土をかけないで、焼きすくも(くん炭)、あるいは、すくも(もみがら)をかけて、湿り気保持と、強い夕立によって土の表面がたたかれるのを防ぐ。発芽まで適度な湿り気が保たれれば(残暑が厳しい時期なので、この点がポイント)、5日経過すれば発芽する。ニンジンは病気や害虫は少ないので、発芽さえそろえば(うまくいけば)、成功である。ボクの場合はその後2~3回の「まびき」と、畝間への液肥(500リットル容器2つで作るメタン菌液肥)灌水を2~3回施すくらいで、10月下旬頃、8割成長したくらいから少しずつ出荷を始める。ニンジンはワンパックにぜひ欲しい野菜なので、成長途上で少し惜しいが入れるようにしている。


 ニンジンを蒔いた後、つるなしインゲンを1袋蒔いた。インゲンはもう1週間~10日ほど早く蒔いてもよいが、田んぼの耕運の都合上、ニンジンと同時に蒔くようにしている。インゲンは53日~55日で収穫期に入るので、8月20日に蒔けば、計算上10月15日頃には収穫が始まる。10月下旬は、春夏野菜が収穫末期であり、秋冬野菜はまだ生育途上なので、野菜の端境期であり、この時期のワンパックのスペースを埋めてくれる貴重な一品である。発芽の時に山鳩類に食べられないことと、台風による甚大な被害がなければ、一定の収量が期待できる。春夏作でも秋冬作でも、インゲンは「つるなし品種」を蒔く。春には春の嵐が吹くことが多く、秋には台風がたいてい1回は来るので、「つるあり品種」の場合、強風の被害を受けやすい。もうひとつは、とても不器用なため、何年たっても、支柱がうまく立てれないということも、つるなし品種を採用している大きな理由である。とにかく、春はつるあり品種でもよいが、秋はつるなし品種の方が台風の被害が少ないと思う。


 ニンジンとインゲンの種まきがすめば、一応やれやれである。この後、25日頃までにレタス(ガーデンレタス、丸レタス、立ちレタスの3種類のレタスを同時に播種する。熟期がずれるので順次収穫できる)の種まき、ハーブ(ディルとチャービル)の種まき、秋冬作のジャガイモの「仮伏せ(芽だしをして定植という手順)」をする。


 8月はこの他に、ハクサイの種を8月27日か28日に育苗ポット(キャベツ類と同じ144穴、直径3センチほどの連結ポット)に蒔く。

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プロフィール

水田祐助

Author:水田祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在55才、農業歴19年目。農業形態は野菜とハーブのワンパック宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ30羽。25年ほど農業とは無縁だったが、ボクが子供の頃は、家は葉タバコ農家だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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